パーソナルな海外進出 帰国するか、とどまるか編樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

海外で語学を学んだ後、何をするべきか。帰国するのもいいし、現地にとどまるのもありだ。筆者のオススメは、海外の公的機関や現地の一般企業に就職することである――。

» 2008年12月19日 17時56分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 ここ数回、海外に個人が進出することを考えている。先週は語学の習得方法を提案した。今週は語学を学んだ後、何をするかを考えてみよう。

帰国するか、とどまるか

 まず考えるのは、大学や語学学校を卒業したら日本に帰るケース。現地の語学を生かして就職することが有力な選択肢になるはず。特に英語の力が抜群であれば、外資系であれ、日本の企業であれ就職には有利に働く。TOEICなどの各種資格も取得しておこう。

 企業に就職するだけではなく、海外で観察していたその国その国の特有のビジネスからヒントをもらって国内で起業してもいい。海外のメーカーから国内販売の代理権を取得するべく交渉するのもありだ。

 一方、現地にとどまるケース。現地のネイティブと同じくらいの言語力を身に付けるのは難しいが、それなりに話せるようになったとしよう。現地で何らかの資格を習得できていれば、卒業後に現地で就職できるかもしれない。資格によっては法律関係、経理関係、技術者など、さまざまなものが考えられる。

 この場合は、語学や現地の事情を学んでいる期間にしていたアルバイトがポイントになるかもしれない。アルバイトとはいえ、現地の言語と社会環境を知るには十分だからだ。

長期滞在許可を得たら……

 現地の大学を卒業した後に大切なことは、現地での長期滞在許可をいかに取得するか、である。本人の申請で通るか、就職先の保障で滞在できるかなど、国によって条件が異なる。学生の滞在ビザと外国人の長期滞在就業可能ビザとは全く違うものであり、これを無視しては正規に就職できないのが普通だ。

 滞在許可の条件が極めて厳しい規制の国もある反面、規制が緩い国もある。一般的に言えるのは、技術系の専門資格を持っていると長期に滞在しやすい。この点はもっとも大切なポイントかもしれない。ちなみに長期滞在の許可条件を簡単に乗り越える1つの方法は、現地の人と結婚すること。こうして人生がにぎやかになっていく。

 卒業後の進路に、日本大使館のような公的なオフィスに現地採用として勤めるのもいいが、国連 のような国際機関を選んだり、現地の一般企業に就職するのは、大きな飛躍のステップとなるかもしれない。

 大手企業であれば、日本駐在ということあるかもしれない。“逆輸入”みたいな感覚だが、海外駐在は給与面や福利厚生などで、かなりの待遇が用意されていることがある。要は、海外の企業に勤めたはずなのに、東京のど真ん中に住み、超高層ビルに個室を持って仕事をするようになる――ことも夢ではないのである。

今回の教訓

帰るべきか、残るべきか、それが問題だ――。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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