チームリーダーに必要なこととは何でしょうか。営業チームや営業リーダーとしての考え方を中心に解説します。ビジネス小説「大口兄弟の伝説」の解説編。
「大口兄弟の伝説」編も無事終了しました。読者の皆さまいかがでしたでしょうか? 前回の「震えるひざを押さえつけ」編と同様に今回から3回に渡って解説を行なっていきます。
さて「震えるひざを押さえつけ」では、どちらかというと営業パーソン個人としてのテクニックや心構えについての解説が多かったのですが、「大口兄弟の伝説」では、営業チームや営業リーダーとしての考え方を中心に解説したいと思います。
第1回「またも呼び出し」のポイントはこちらです。
またも呼び出し
大企業は確かに営業的な観点から考えると効率がいい。ただ、短期決戦には向かないということを2人はよく理解していなかった。
チームリーダー的立場につくと、売上予算などというものを持たされます。そうなってはじめて分かるのは、チーム全体の売上を「作る」のは、とても難しいことだということです。
チームの担当分野が大企業のみという場合はともかくとして、法人営業は多くの場合、売上高の大きいところと小さいところを組み合わせて計画を立てる必要があります。というのも、一般的に売上高の大きさと成約までにかかる期間には強い相関関係があり、売上高の大きいところばかりをねらっていると、期間内にすべての売上が上がる確率が低くなってしまうからです。
チームリーダー以上の役職者は痛感していると思いますが、まだ役職についていない人はこのことについて意外と無頓着です。役職につく前から意識してリーダーのやることを見ていないと、役職についてからあわてることになります。ご注意ください。
またも呼び出し
最初は一緒に行こうかと言っていた和人だが、自分たちでやりたいという大口兄弟の意思を尊重することにした。報告だけは上げさせている。
営業の方法論はいくつもあります。何が正しいというわけではありません。しかし結果は強く求められます。最終的にはやる気と工夫です。営業リーダーにとって一番難しいのは、部下のやる気を維持するということです。
和人は大口兄弟にやる気があることは十分理解しているので、大きく任せています。ただ、放任はいけません。報告はきちんと受けましょう。
なお、営業日報についてはいろいろな考え方があると思いますが、筆者の考えでは、文章をダラダラ書かせるような報告は、書くほうも読むほうも時間のムダだと思います。
1日に何軒回っていて、どこで今どのような状態になっているという数値と事実だけを書かせるほうが良いかと思います。意見でなく、データだけを取るのです。
意見を書かせることには、3つの弊害があります。
特に、相談をしなくなるという弊害は大きい。せっかく毎日書いているのに、リーダーは見てくれていないということになりがちなのです。それが不信感につながり、部下はやる気を失っていきます。
逆にデータだけを取るようにすれば、報告時間の削減になることと、後で分析がしやすいというメリットが出てきます。データを基にした指示は説得力があり、また実際的になるので、部下のリーダーへの信頼度も増します。
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