Mozilla Japanは10月29日、オープンソースのメールソフト「Thunderbird」に関する説明会を開催。2年半ぶりのメジャーバージョンアップとなる「Thunderbird 3」を、11月中旬にリリースする予定だ。
Mozilla Japanは10月29日、オープンソースのメールクライアントソフト「Thunderbird」に関する説明会を開催した。2年半ぶりのメジャーバージョンアップとなる「Thunderbird 3」を、11月中旬にリリースする予定という。
Thunderbird 3ではまず検索機能を強化した。新開発の検索エンジン「Globa」を搭載し、メッセージの全索引をSQLiteに格納することにより、全アカウントにまたがる検索を可能にするほか、検索速度を大幅に高速化している。Mozilla Japanが約7万7000件のメールを対象に行ったテストでは、前バージョンでは5分以上掛かっていた検索を、10秒にまで短縮できたという。
同時に、検索周りのユーザーインタフェースを改善。これまでメールアドレスや件名、本文の検索は別々に用意されていたが、「グローバル検索バー」から一括して検索を行えるようにした。さらに検索結果について、送受信者やスター、添付ファイルの有無やタグといった条件に基づいて絞り込む機能が搭載される。Windows SearchやMac OS XのSpotlightといったOSが備えるデスクトップ検索機能との統合も図られる。
インタフェース面では、メッセージのタブ表示にも対応し、複数のメールを切り替えて表示できるようにした。複数のメッセージを選択してその要約を表示する機能も備える。ほかに、Gmail対応の強化やIMAPパフォーマンスの向上、メールアカウント設定の支援機能など、多くの新機能を盛り込んだという。
また、ビジネス用途をにらんだ機能として、メール送信時、本文内に「添付」といった単語があるのにファイルが添付されていない場合にそれを警告するリマインダ機能、自動スペルチェック機能などが盛り込まれる。
Mozillaの研究部門であるMozilla Labsは米国時間の10月22日に、メールだけでなくインスタントメッセンジャーやSkype、ソーシャルネットワークサービスの「Facebook」や「Twitter」といった、さまざまなツールのコミュニケーションを統合するプロジェクト「Raindrop」を発表している。
来日した米MozillaのMessaging CEO、デービット・アッシャー氏は、「私がメッセージングに関わり始めた1986年当時は、数人の相手と1日に数通のメッセージをやり取りする程度だった。しかしいまや、電子メールだけでなく、Facebookやビデオ、音声などいろいろな手段を使い、非常に多くの相手とコミュニケーションを取れるようになっている」と述べた。ただ、そうしたコミュニケーションツールを統合するのはThunderbirdではなく、Raindropの役割だという。
「今のところ、Thunderbirdにすべてをやらせようとは考えていない。電子メールクライアントというものは、その設計上、Twitterなどほかのコミュニケーションツールと統合するのは無理がある。Raindropでそうした構想を実現していきたいと考えている」(アッシャー氏)。
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