わたしたちは情報をインプットして、理解し、記憶するときには必ず「絵」にしています。本連載では入ってきた情報を整理・分析し、他人に分かりやすく伝える技術「図解通訳」を紹介。今回は、「カタチ」に着目し、図解通訳のまとめをします。
前回まで、9回に渡って、図解通訳のメリット、基本パターン、そのバリエーション、フレームワークの組み合わせ方、実践練習などを行ってきました。
今回は、この集中連載の区切りとして、「カタチ」に着目し、図解通訳のまとめをしたいと思います。
例えば、分析や提案にどのようなチャートやフレームワークが最適なのか、迷うことも多いでしょう。図解というのは、目的やテーマによって実に多種多様なものが存在します。一見すると、量が多すぎて収拾できない印象がありますが、見た目のカタチで分類すると、便利です。ビジネスで利用する「カタチ」は、おおむね次の6つにパターン化されているようです(図1)。
例えば、代表的なフレームワークのカタチである2×2のマトリックス型では、要素を2つの変数で分解することを目的にしています。分解することで、各要素の中にさらにどのような要素が含まれているかを明確にできます。また、フロー型のフレームワークでは、全体の流れと各プロセスの関係を示すことによって、仕事の流れなどを分かりやすく可視化することができます。ポイントはこうしたカタチの特徴に着目して、用途に応じて適切なフレームワークをチョイスできるようにすることです。
実際の使い方としては、「新しいプロジェクトの改善方法とアクションプラン」というテーマなら、PDCAのサイクル型の図を頭に思い浮かべながらメモをとっていくという具合です。適切なフレームワークを選んで図解通訳すれば、ヌケやモレがすぐに判明しますから、効率のよい議論ができます。
さまざまな形があるフレームワークですが、どれもがもとを正せば、基本パターンである四角形と矢印の発展形であることが分かります。例えばフロー型は基本パターンに「時系列」という概念を持ち込んで、並べたものです。また、サイクル型は、さらにフロー型が何度も循環するように変化したものです。
基本パターンさえ押さえていれば、いくらでも応用が利くというのはそうした理由からです(図2)。
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