移動時間を賢く使う7つの方法と便利ツール脱ガンジガラメの働き方(2/4 ページ)

» 2011年09月16日 08時30分 公開
[イクナイBusiness Media 誠]
誠ブログ

移動時間の具体的な使い方

 移動時間のような、「ある程度の長さは予測できるが、その時によって長さがまちまちな時間」をうまく使うには、「今自分が何をやるべきなのか」をよく認識しておく必要があります。

 一時流行ったGTDなどはその例だと思いますが、いわゆる「タスク管理」というやつです。GTDは、「やるべき事を細分化してリスト化しておく」という手法ですが、これをやると、忙しくて埋め尽くされていると思っていた作業予定の中から「実は15分でこなせる事」が幾つも出てきます。

 これを認識しておくと、移動時間にあてがったりしてタスクを着実に減らすことができるのです。もちろん作業だけでなく、「移動時間」はさまざまな局面を前に進められるポテンシャルを持っています。

 では移動時間の使い方にはどのようなものがあるのか? 代表的な例を7つ挙げてみましょう。

1.考え事

 僕はデザイナーですが、グラフィックデザインに携わる事もあればシステム設計や実装などをするデザイナー(設計者)です。さまざまな仕事を取扱います。

 机に向かって作業をするまでに、プレゼンや打ち合わせで人と話をする前に、企画書を作る際に、移動後に起こるであろう幾つかの局面に対する準備が「考え事」です。5〜20分位の短時間から数時間単位の長距離移動まで、さまざまな移動の途中に使えます。

 これは集中力さえ保てれば割とどこでもできると思いがちですが、実は一番自分の精神状態に左右されます。車でも自転車でも、自家用車、あるいはあえて満員電車だとしても、「考えようとしている事に一番似合うシチュエーションを自ら作る」というのが大事なファクターです。

2.作業

 これは業種によって「できる・できない」がありますが、僕みたいなデザイナーは「PCを開けないと作業ができない」という局面がほとんどです。そのために「着席できている」という状況が必須になります。また、それなりにまとまった時間が必要なのも特徴です。

 電車やバスに乗るのであれば1本遅らせて様子を見たり、確実に作業しなければならない局面などはタクシーを使うなど。タクシーは多少高くつきますが、移動時間に作業をするのならば、「時間を金で買う」位の意気込みで臨まなくてはなりません。ある意味では最終手段ともいえます。

 また、長距離出張で新幹線や飛行機などを利用する局面では、自分の乗り物酔い具合と相談しながらになるでしょう。作業は体力を消耗します。無理して作業に没頭すると、現地に着いたらヘロヘロ、なんて本末転倒なことにならない為にも、計画的な休憩は必要です。

3.本を読む、音楽を聴く、映画を見る

 長距離移動ならではの使い方です。iPadやPSPなど、最近は映画をデータとして持ち歩ける環境が、ハード、インフラともにそろってきました。そんな環境を使わない手はありません。

 一昔前であれば、新幹線の窓側席や国際線のそれなりのクラスのシートなど、安定した電源が確保できる一部の移動手段でのみ実現可能でした。バッテリーのロングライフ化が著しい昨今では、1日の移動時間程度、どこでも余裕で動画、音楽、書籍といったコンテンツを楽しめます。

 また最近では、iPhoneやiPadを始めとした閲覧端末の進化により、全てをデータ化して持ち歩ける(=持ち物の重さが変わらない)メリットもあります。手の平のエンターテイメントを使った手軽なリフレッシュ方法は、移動時間用にいくら用意しても足りないくらいです。

4.世界を眺める(一昔前の「新聞を読む」に近い)

 僕はオフィスで調べ物をほとんどしません。iPhoneやiPadのおかげで「調べ物をする場所」はオフィスや図書館じゃなくなりました。特に新しいプロジェクトが始まった時などは、最初の行程検討段階で移動時間に関連事項を調べまくったりします。

 (1)まず移動時間でインターネットに落ちてる現状をつかみ、(2)調査がある程度進んで方向性が見えてきたら(=インターネット情報じゃ物足りなくなってきたら)次は蓄積資料で根拠を固め、(3)行程に起こす。

 という流れを最近はとても気に入っていて、このくだりを見てピンと来た人に是非やってみて感想をいただけるとうれしいです。何より「世界を見る」という行為に「移動しながら」というシチュエーションはとても似合っています。

5.世間を眺める

 アイデアに煮詰まった状態を救ってくれるのは、乗り物に乗っている人達の油断から来るユニークな行動だったりします。誰しも一日中カッコつけの仮面をかぶってはいられません。「老若男女、車両内の全ての人がスマートフォンかゲームで遊んでる特異な状態」なども日本ならでは。旬なこの状況を見逃さないようにしたいものです。

 また、長距離移動の景色は意外にすぐ飽きてしまいますが、「ふと目をやる電車の窓」などには思いもよらない光景が待っていることも。知らない土地を探索するのと同じくらい「よく知ってる土地を見直してみる」ことは、インスピレーションの固まりだったりするのです。

6.スケジュールを見直す、調整する

 冗談も交えながら進んでいるこの話で、実は一番肝なのがこの作業です。「スケジュールを放り込む」のは主にオフィスや打ち合わせ場所での作業ですが、「放り込んだスケジュールを最適化する」というのはまた違う話です。移動時間にふと気付いた「この作業は明日のこの時間にやればいいんだよな」的な事を、その場でサッと反映しておくことも「邪魔が入りにくい」という移動時間の性質ならではです。

 時にはジッと考え込んでスケジュールを見直してみるのもいいでしょう。経験上、1週間分のスケジュールを本気で見直すと、時には1日分くらいの空きを余裕で作ることができたりもします。それほど「取りあえず手帳に詰め込んだスケジュール」は穴だらけなのです。

7.寝る

 これは究極というか、基本です。信じられない疲労を感じているときに、移動時間に作業しろなんて「何をか言わんや(あきれて何も言えない)」です。タクシーの後部座席や電車の一番端の席は、ビジネスマンにとっては即席ベッドです。眠いときは寝る。これは移動時間だけじゃなく、全ての基本です。

 これまで挙げてきた「移動時間の使い方」において大事な事は、「いつもやらない」ことです。人間はそれがルーチン化すると、勝手にさらなるガンジガラメに巻き込まれます。これはもう、そういうものなのです。

 普段はそんなやり方もあるな、と気に留めておくくらいにして、実際にガンジガラメ気味になった時に使えばいいのです。そんな「次の策がある」的な心の余裕が、またガンジガラメを遠ざけてくれます。前ページにも書きましたが、ガンジガラメ感を呼び起こすのはいつの時も「視野の狭窄(きょうさく)」です。そんな状態をなるべく作らないことが、脱ガンジガラメのコツといえます。

Tips

僕は机に向かわないとできない事を「作業」と呼んでいます。この時間は完全な「拘束時間」なので、この時間をなるべく減らすというのが「脱ガンジガラメ」のキーの1つです。


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