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» 2012年02月27日 11時00分 UPDATE

アイデア発想実践記:【KJ法で考えた】ブルーオーシャンな起業アイデアを探してみる (1/3)

アイデア発想のメソッドが実際にどの程度うまくいくのか、仮想的課題を立てながら、実際にいくつかのメソッドに挑戦します。第1回はKJ法。

[シックス・アパート 中山順司 ,Business Media 誠]

 皆さんは、アイデアを出すのは得意ですか? それともしんどくて嫌ですか?

 「何か企画案ない?」「グッとくるキャンペーンのネタを考えてよ」と職場で振られたときに、さっとアイデアを披露できるようにしておきたいですよね。好むと好まざるにかかわらず、脳を絞ってアイデアを創らねばならないのが現代のビジネスパーソンでしょう。

 さて、世の中にはさまざまなアイデア発想のメソッドが存在します。ブレインストーミング、KJ法、NM法……など、見聞きした単語もあるかと思います。ただ「知識としては知っているけど、忠実に実践したことはないなあ」という人が大半で、1つ1つを試して、検証してみたことのある人は少数派でしょう。

 そこで今回、私(中山)や誠 Biz.ID編集部のスタッフなどで、いくつかのアイデア発想メソッドを実験、検証をしてみます!

 なぜなら、何ごとも「やり方を知っている」のと「実際にやってみる」とでは天地の差があるからです。具体的なお題を用意し、メソッドに従って脳みそを絞る様子をつぶさに描写して包み隠さずお伝えすることで、メソッドの長所短所やお題との相性を明らかにできると思うわけです。

 さらに今回は特別に、アイデア創出の支援をする組織「アイデアプラント」の代表、石井力重さんに監修として参加いただくことになりました。毎回1つのメソッドを試し、その結果に対して石井さんがコメントをします。

石井力重(いしい・りきえ)さんプロフィール

st_ishiirikie.jpg 石井さん近影

 1973年、千葉県生まれ。東北大学大学院理学研究科修士課程卒業。技術系商社から東北大学大学院博士課程(MOT専攻)、独立行政法人のフェローを経て、2009年4月にアイデアプラントを設立。現在は「ブレスター」「智慧カード」などアイデア創出支援ツールの企画開発、企業・団体向けの新事業・新製品開発支援、さまざまな創造技法を紹介するワークショップなど、多彩な活動を展開している。2011年6月には、東北地方のビジネス活性化と震災復興を目指す「Fandroid EAST JAPAN」を設立、同理事長に就任。仙台を拠点に、Androidアプリ開発技術者の育成と能力向上、アプリ関連ビジネスの活性化に尽力している。Webサイトは「石井力重の活動報告」


 初回に試すメソッドは、有名な発想法の1つ「KJ法」。メンバーは中山、誠 Biz.IDでこの連載を担当する上口さん、そして編集長の鷹木さんの3人です。

今回実践するメソッド:KJ法とは

文化人類学者の川喜田二郎氏がデータをまとめるために考案した手法。データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめて、図解し、論文などにまとめていく。KJは考案者のイニシャルにちなむ。共同での作業にもよく用いられ「創造性開発」(または創造的問題解決)に効果があるとされる(Wikipediaより)。


 以下のステップに沿って進めていきます。

  • ステップ1:テーマについて思い付くことを、1枚1アイデアの原則で書き出す
  • ステップ2:書き出し終えたら、机の上に並べて関係ありそうなものごとにグループを作る
  • ステップ3:それぞれのグループに、見出し(表札)を付ける
  • ステップ4:隣のカードづたいに全てのカードに書いた内容を、一筆書きのように書きつらねる

 では、早速参りましょう!

お題:ブルーオーシャンかつ個人で始められそうな起業アイデア

 今回用意した物は、人数分のペンと7.5センチ四方の付せんの2種類。貼れた方がまとめるときに便利かな? と予想して、カードではなく付せんを使用しました。また、誰が書いたアイデアか視覚的に分かるよう、色違いのものを用意しました。

shk_idea01.jpg

 以下、各ステップを実施した様子を時折心境も交えながら、なるべく客観的に淡々と描写していきます。

ステップ1:テーマについて思い付くことを、1枚1アイデアの原則で書き出す

 30分間で各自35個のアイデアを出そう! と決め、3人合算で100個以上出すのを目標に開始。スタート地点となる発想のキッカケは用意せず、ゼロからいきなりスタートしました。

 1枚に1アイデアで、各自黙々と書き込んでいきます。

shk_idea02.jpg

 最初の10個まではわりとスムースに書き出せましたが、そこから筆のスピードがガクンと落ちます。そして時間はまたたく間に過ぎていき、制限時間が近づくにつれてイライラが募るように……。

shk_idea03.jpg

 「質より量」とばかりアバウトなアイデアが増え、字も乱れました。タイムアップ! ……と同時に上口さんが、「ラーメン屋!」と書きなぐる場面も(超レッドオーシャンですが、そこはドンマイ)。

 結果は、鷹木さん34個、上口さん21個、中山19個(合計74個)。目標の100個には届きませんでした。とはいえ、74もアイデアが生まれたわけなので、気を取り直して次に進みます。

 次は順番に各自のアイデアを説明していきます。

shk_idea04.jpg

 単体で「面白そう!」というアイデアもあれば、「ん?」と首をかしげるものもありますが、この段階では評価や議論はせずに次々と進めていきます。

 以下、今回出てきたアイデアの一例です。

盛り上がったアイデア例 コメント
会議の代行業 司会役、議事録、タイムキーパーなど、パーツで発注可能。
(中古の)車、住宅購入者に同行し、プロの眼から中立的なアドバイスをするコンシェルジェサービス 不動産だと内覧会に同行してくれるサービスがあるけど、中古車はないような。新車が売れない時代だからこそウケる?
移動式の自転車メンテナンス専門 小まめな修理やメンテの需要は高いような。単価は低いが手堅い
野菜と鮮魚カッティング専門のアウトソーシング スーパーの委託を受けテナントで常駐し、購入後の野菜と魚をさばきまくる。三枚下ろし、刺身用、千切りなどリクエストに応じる
サプリメントの置き薬的な宅配業 富山の薬売りのイメージ。メーカーをまたいでいろいろ試せる
教祖と信者のマッチングサービス 宗教のマーケットプレース。教祖から課金する
自殺、他殺などイワク付き不動産物件のクリーンアップサービス 短期で住み、イワクを消す(※一回住人が介在することで告知義務が無くなる)
季節の便利屋 冬の雪おろし、夏のゴーヤカーテン設置
子供のお絵かきをクッション(とかぬいぐるみ)にするサービス 唯一無二の思い出。ギフトにも
・低額のプロポーズ支援ビジネス 演出、セッティング、コンサル。草食世代狙い?
お1人様専用の葬儀屋 孤独死する前に予約し、事前決済をしてもらう
(故郷の母親を安心させる)代理コミュニケーションサービス 忙しくて親とのコミュニケーションの時間が取れない、もしくはうっとうしい人に。オレオレ詐欺の逆バージョン
自殺ポイントAR アパートの部屋等の不動産物件で自殺があったか判定してくれるアプリ。クロ判定されたときが怖い

 ――40分ほどかけて、74全てのアイデアを発表し終えました。中には非現実的だったり、半分ネタ的なものもありましたが、互いの発想の着眼点がユニークで、学べる点も多くありました。

 後は、出たアイデアをまとめていくだけです。この時、メンバーには「短時間でこんなにたくさんパーツ(アイデア)が集まったのだから、さらにステップを重ねることで、スーパーな成果物(ブルーオーシャンな個人起業ネタ)が生まれるのでは……?」という考えがありました。しかし、そう感じたのもつかの間。事態は、期待とは逆方向に進んでいくのです……。

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