【KJ法で考えた】ブルーオーシャンな起業アイデアを探してみるアイデア発想実践記(3/3 ページ)

» 2012年02月27日 11時00分 公開
[シックス・アパート 中山順司 ,Business Media 誠]
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ステップ3:各グループに見出し(表札)を付ける

 次は、まとめた4グループに見出しを付ける作業です。しかしここで、またもや四苦八苦。アイデアは膨らんでいるはずなのに、スパッと明快な見出しが思い浮かびません。「なぜ?」と考えていくと……グルーピングすればするほど、互いのアイデアが邪魔し合い、コンセプトが拡散してしまっていることに気付きます。

 徐々に「まとめようがないアイデア同士を、無理やりまとめようとしていること」が、ストレス以外の何物でもなくなってきます。アイデア出しの段階では笑顔で話し合っていたメンバーの口が徐々に重くなり、発言が途切れ途切れに。「おかしい」「こんなはずでは……」と焦り始めました。

ステップ4:1つのグループを一筆書きのように書きつらねる

 本来ならここで、隣のカードづたいに全てのカードに書いた内容を、一筆書きのように書きつらねる作業に移ります。しかし、とてもじゃないが1つのストーリーをつむぐことはムリと判断。この時点で既に3時間が経過し、疲れがどっと押し寄せました。

 散らかった74枚の付せんを前に、無念の終了ホイッスル――。


 ……これが第1回のいきさつです。すばらしいブルーオーシャン起業ネタはつかめず、軽い挫折感を味わうことになってしまいました。

反省点とメンバーのコメント

 アイデアの量はそれなりにあったのに、どうして尻切れトンボになってしまったのでしょうか? 3人で反省会をして、以下3点に気が付きました。

(1)アウトプットをしているようで、結局は脳内の引き出しを整理しただけだった

 最初の10分はスラスラとペンが走る理由がこれです。しかしこれは発想ではなく、単に脳内の記憶の引き出しを整理しただけでした。

(2)アイデアを単体で成立させようとした

 「頭のいいところを見せねば」「斬新なアイデアをひねり出さねば」と頑張りすぎました。その結果、単体で成立しすぎてしまい、他のアイデアとかみ合わないことに。もっと気軽に「こういうとき困るよね」「こうなったら便利かな」という要素だけでよかったと思います。

(3)化学反応は自然に起きてくれない

 3時間もがんばったし、けっこう疲れたし、初回だし……とやめてしまいましたが、本来なら丸1日費やすくらいのテーマでした。「これ以上アイデア出ない……」「もうギブアップしたい……」と壁にぶつかってからが勝負だったかも。


 以下、メンバー個別のコメントです。

中山

複数人で出し合ったアイデアを組み合わせてストーリーを紡ぐのがKJ法の醍醐味(だいごみ)なのに、自力で完結しようと肩に力が入りすきたかも。たとえ中途半端なアイデア(のカケラ)で上手にまとまりきっていなくても、心にブレーキをかけずに出せばよかった。初回ということもあって、若干遠慮があったかもしれない。


鷹木

アイデア出しはあれほど楽しかったのに一通り終了したら、なぜかずーんと疲労感。出したアイデアたちを有機的に結び付けて、斬新なアイデアにすれば「ブルーオーシャンなんて簡単だぜ」と高をくくっていたのが間違いだったのでしょうか。アイデアの粒度が大きすぎたのでしょうか。もうちょっと細かいテーマ設定の方がよかったかなあ。


上口

アイデアを出すのも大変だったが、それ以上に出てきたアイデアからまとめていく作業の方が辛かった。ある程度似たようなテーマでまとめられても、それを1本のストーリーにまとめる発想が出てこなかった。


石井さん監修コメント

 今回の場合、初期段階のアイデアがある程度「要素」と「文脈」の両方を持っているので、次のようにすると楽しく収束できるでしょう。

(1)初期的なアイデア(74個)の中から、各自がベスト3を選ぶ。

(2)選んだものを1つ取り上げ、3人でそのアイデアから連想できること(ニーズ、工夫、場所や時間、お客にとってのうれしい点、既存との違い、など何でも)をわいわい言いながら付せんに書き出す。目安として5分で20個出そうとする(選んだ付せん全部に対して、同様に行う)。

(3)書き出した付せんをグループ化する。この時、「何となく関係する感じがする2つ」を引き寄せていくことを繰り返す。※典型的なNGケースは、まとめやすいカテゴリを先に作り、それにむけて効率的に分類することです。楽ですが新しいものは生まれません。

 こうしてまとまったものを、いくつか踏まえて新しいビジネスアイデアを考案するとよいでしょう。


今回学んだこと

  1. アイデアを出すときは、等身大で(格好を付けようと思わない)
  2. アイデアは出してからが本当の勝負
  3. 化学反応は自然発生しない、脳に汗をかいて起こすもの

 石井さんのコメントにあるように、まとめやすいものからグループ化してしまう典型的な失敗例だったようです。結果、初回は低調な結果に終わってしまいましたが、課題が浮き彫りになったのは収穫でした。何事も、やってみなければ気付かないことがたくさんあるものです。アイデアの発想技法は、きっとスポーツと同じようなもので、何度も繰り返して「習うより慣れろ」が大事なような気がします。実際にチャレンジしてみたからこそ、次回はもっとうまくやれるという感触が得られました。これにへこたれずに、次回も頑張ります。

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