Evernoteは12月から、企業向けサービス「Evernote Business」を開始すると発表した。組織内での情報共有に活用できるように管理者向けの機能を拡張したもので、既存ユーザーは個人アカウントをそのまま業務用にも利用できる。
Evernoteは、2012年12月に企業向けサービス「Evernote Business」の提供を開始する。8月24日(米国時間)サンフランシスコで開催したイベント「Evernote Trunk Conference 2012」の中で発表した。
これまでコンシューマ向けに提供していたEvernoteに、アクセス権やデータの所有権を振り分けられる管理機能を追加。社員が個人で使用していたアカウントを組織内での情報共有にもそのまま活用できるよう、企業向けに拡張した。
基本機能はEvernoteと同様、テキストや画像、音声データの記録、検索が可能。マルチOS対応なので、端末に依存せずインターネット環境さえあればどこからでもアクセスできる。
既に個人アカウントを持っている社員はそれを引き継ぐことが可能で、自身のディレクトリの他に企業が管理する組織共有ディレクトリが加わる形で利用する。それ以外の社員には新規にアカウントを発行し、個人データと組織内の共有データを同一インタフェース上で扱えるようにする。1つのアカウントでプライベートと会社のデータを管理できるというわけだ。
企業としては、Evernoteを使っている社員であれば、見慣れたユーザーインタフェースでチームの共同作業やアイデア交換を促す場を提供できるメリットがある。Evernote Business専用のサポート窓口も用意しているので、設定やその後の手続きについて不明な点があればEvernoteにサポートしてもらえる。
料金は1ユーザあたり月額10米ドル。アップデート可能な容量はEvernoteのプレミアム会員と同じ月最大1Gバイトとなっている。
Evernoteのフィル・リービンCEOは、ビジネス版の提供について、同社も従業員数が世界で200人を超え、社内での情報共有ツールが必要だと考えた。そこでほしいもの、必要なものを追求していった結果、Evernoteに管理者機能を備えた今回の提供形態に行き着いたという。まだ機能は限られるとしても、社内共有ツールとして他社製品を意識しているかを問われると「競合を意識する考え方ではなく、あくまで自社がほしい、ユーザー企業にとって必要だと思う機能を実装していくのみ。Evernoteと同規模の中堅・中小企業の情報共有を円滑にするツールとして使ってほしい」と回答した。
Evernote Trunk Conference 2012ではこの他、モレスキンとコラボレーションした「Evernote スマートノートブック」やEvernoteのAPIを利用した開発者コンテストの結果などを発表した。詳細は追ってリポートする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.