Evernoteは2011年にアップデートした新機能や、新たにEvernote連係をした製品・サービスをパートナー企業とともに披露した。
Evernoteは11月8日、米国本社からフィル・リービンCEOを迎えてプレス向けの説明会を開催した。ここ数カ月で発表したEvernoteのアップデートに関する情報や、新たにEvernote連係を実現した製品・サービスをパートナー企業とともに紹介した。
Evernoteは、全世界1600万人、国内では200万人が利用するWebサービス。PCやスマートフォン、タブレット端末、プリンタ機器などさまざまな端末からインターネット経由でテキストや画像データなどを蓄積できる。Evernoteと連係するアプリケーションも日々拡充しており、Evernoteはまさにそうした製品・サービスを利用するユーザーの口コミの力で成長を遂げてきた。
今回発表したEvernoteのアップデート内容は、まずiOS向けアプリのテキスト編集機能を強化したこと。テキストにリンクを張ったり、個条書きができるようになった。また、モバイル端末向けアプリの最新版としてWindows Phone 7用のアプリを近日中にリリースする。日本語化が完了し、モバイル向けUI(Metro UI)に最適化したものだという。
Evernoteと連係する同社製品の情報としては、描画ソフト「Skitch」のAndroid端末版を提供開始した。SkitchはこれまでMac版にのみ対応しており、今後はiOS版も順次公開していく計画だ。
その他、iPad 2の純正カバー「Smart Cover」を使った学習用アプリ「Evernote Peek」の機能を強化。具体的には、Smart Coverがない初代iPadでも利用可能とし、日本語版のアプリを用意する。学習アプリは小学館、学研、日経ビジネス(日経BP)との協業で展開していく。
新たにEvernote連係を実現した製品・サービスも披露。プリンタや手書きメモをデジタル化できるツールを紹介しよう。
まずはプラスが12月中旬に発売を予定しているプレゼンテーション用ツール「UPIC CoCo」。UPIC CoCoは、A6サイズの専用パッドとデジタルペンを用いてプレゼンテーション資料のポインタ操作や書き込みができるツールで、最大3人で1つの資料の対して書き込みなどが可能。デジタルペンはPCとBluetoothで無線通信をするので、UPIC CoCoを操作する人はケーブル接続の問題などを気にせずにプレゼン資料を操作できる。
価格はオープン。Evernoteと連係することで、プレゼン後の資料を共有したり外出先から確認するとった利用が可能になった。
富士ゼロックスは、セブンイレブンに設置しているマルチコピー機のEvernote連係を発表した。Evernoteから専用のアプリ(ネットプリント)を呼び出し、プリントしたいデータを登録すると、8桁の予約番号を生成。ユーザーはアプリ上で閲覧できるその予約番号をセブンイレブンのプリンタに入力することで、Evernoteに保存したデータを印刷できる。
用紙サイズなどの印刷条件は、アプリで設定が可能。印刷料金は、カラーLサイズが1枚30円。カラーB5、A4、B4サイズが1枚60円。カラーA3サイズが1枚100円。白黒は1枚20円だ。
一般ユーザーのほか、ビジネスユースでの利用も想定している。ビジネスで利用する場合には、予約番号を共有することで、例えば離れた拠点間で仕様書などのドキュメントを共有できるなど、これまで郵送していた書類を手配する手間を削減できる。
ブラザー販売は、9月1日に発売したインクジェット複合機「MyMio」シリーズに、Evernote連係機能を追加した。12月1日にファームウェアアップデートを開始する。
MyMioのラインアップは、プリント、コピー、スキャン機能を搭載した「DCP-J925N」と、同モデルにファックス機能を追加した「MFC-J825N」、さらに電話機能(コードレス子機含む)を搭載した最上位機種の「MFC-J995DN/MFC-J995DWN」の3機種。Evernoteに対応したことで、PCを介さずにスキャンしたデータをそのままクラウド上に保存できるようになった。年末の大掃除などで大量の写真をデータ化したい際などに手軽に処理ができるなどのメリットがある。
iPadやiPhoneに手書きしたメモをデジタル化するアプリ「7notes」(800円)も、Evernote連係を強化した。Evernoteへ送信するデータはデフォルト設定では「文字データ」のみだが、選択すれば「画像データ」「7notesオリジナルデータ」も転送できるようになった。転送までの操作も従来TwitterやFacebookに投稿していたのと同様の数ステップで完了する。
7notesをインストールしている端末間であればEvernoteで共有したデータの編集作業が可能になるなど、共同作業や複数端末を所有するユーザーにはうれしいアップデートだ。提供元であるMetaMoJiは、スマートフォンやタブレットに手書きするときに最適なスタイラスペンも販売しており、7notesと合わせて多くのユーザーから高評価を得ているという。
コクヨS&Tの「CamiApp」もEvernote連係版を発売する。これまでもEvernoteとの連携はできたが、新規に開発するアプリを使うことで、より容易に手書きメモをデジタル化してEvernoteに転送できることが特徴だ。今回の取り組みはスマートフォンアプリの開発などを手掛けるrakko entertainmentとの共同企画で、Evernoteのロゴを取り入れたノートやiPhoneアプリ(無料)を新規に開発する。
アプリを介して手書きメモをデジタル化する仕組みはこれまでのCamiAppと変わらない。四隅に黒い印もしくは黒く縁取ったCamiAppの専用ノートに書いた手書きメモをiPhoneアプリ読み込み、保存(転送)することで、Evernoteにデータを保存できる。今回の取り組みは、少しでも早く手軽に手書きメモをEvernoteに送りたいユーザーの要望に応えたものだという。発売は2012年4月以降を予定している。
2010年の国内リリース以降、多くの製品・サービスとの連携を進めているEvernote。リービンCEOは説明会の中で「どこからでもアクセスができ、使うほど理解できるサービスとしてEvernote使ってほしい」と述べており、今回の数ある発表も、生活のあらゆる場面でEvernoteが使われ「全ての情報を保存」するという同社のビジョンに沿った動きだといえる。
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