文具王が振り返るISOT――小規模ブースのアイデア文具が目立った2013年ISOT 2013(1/2 ページ)

6月26〜28日に行われた「国際文具・紙製品展(ISOT) 2013」。文具王は今年のISOTをどう見たのだろう? 注目した文具は?

» 2013年07月10日 19時55分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]
6月26〜28日の3日間開催。「国際文具・紙製品展(ISOT)」のほか「国際雑貨 EXPO(GIFTEX)」なども併設開催された

 6月26〜28日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「国際文具・紙製品展(ISOT) 2013」。約7万人が訪れ、盛況のまま幕を閉じた。

 文具といえばこの人、文具王こと高畑正幸さんは今年のISOTをどう見たのだろう? 3日間を通じて気になった文具やISOT 2013のトピックを聞いた。

小規模事業主のアイデア文具が目立った2013年

文具王こと高畑正幸さん

 ISOT会期中の3日間、各ブースを回った文具王は次のように振り返る。「大手文具メーカーの出展は例年と同様で少なく、ISOT自体の規模は縮小している。それはさみしいことではあるが、逆に小規模ブースで出展していた個人事業主などが自身のアイデアを生かした面白い文具を出展している印象を受けた。

 大規模ブースではキングジムが相変わらずユーザーの想像の斜め上を行くデジタルとアナログを融合した製品を矢継ぎ早にリリースしていたり、コンパスなど学童文具に強いソニックが、あえて今学童向けに利便性とユニークさを取り入れた新製品を真剣に開発したりしていて好印象を受けた」


キングジムのブース(画像左)、ソニックのブース(画像右)

 製品カットでは、4つのトレンドが見られたという。1つは、昨今のスマートフォン連係ブームから立ち戻り、アプリではなく、ノート自身に工夫を凝らして機能性を高める方向性のものが出てきていること。日本文具大賞グランプリのデザイン部門でグランプリに選ばれたマークスのミシン目付きノート「リファインド プロダクツ/ウロコノート」や、キングジムの「インデックスノート」、デザインフィルの「ダブルスケジュールダイアリー」などがそれだ。


左からマークスのミシン目付きノート「リファインド プロダクツ/ウロコノート」、キングジムの「インデックスノート」、デザインフィルの「ダブルスケジュールダイアリー」。紙を切ったり形状を工夫することでインデックスやタグ付けの効果を持たせている

  2つ目は小規模、小ロット生産技術を利用した製品、具体的にはレーザーカットやオンデマンドプリント技術を使ったさまざまな形状の付せん、紙製品、印刷物が増えてきていること。レーザーカットは3Dプリンタと並んで注目されている小ロット生産技術だが、高精度高品質な物を作れるので、特に付せんや紙性の文具を出しているメーカーや、ノベルティ製品にもきているようだ。

 3つ目は、個人やそれに準じるごく小規模の生産者がチャレンジしているところ。独自のアイデアを核に、小さなブースを構えて商品を提案しているのが目立った。彼らは、宣伝に積極的にSNSなどインターネットを使い、話題性の高い製品を打ち出すことで各種マスメディアに対しても費用の掛からない取材という形での告知を利用するなどしたたかだ。中には、クラウドファンディングなどで資金調達を試みるベアハウスの「立つノートカバー」のようなプロジェクトなども登場して、今後のモノづくりに小規模な生産者の参入が活発化しそうな兆しを見せていた。

 最後は、サイズ感。特に女性の小さいカバンにも入りやすいA4の3分の1サイズの製品が今後のトレンドになると予感できるものがあったという。例えばキングジムのA4 三つ折りホルダー「オレッタ」。A4書類をコンパクトな三つ折り状態にして持ち運べるものだ。またISOTには出展していないが、PLUSも最近、同じくA4の3分の1サイズのノート「Ca.Crea(カ.クリエ)」を発売し、量販店などでの売れ行きは好調だという。また、小型のフィールド作業用ノートに見られる縦型サイズも今後のトレンドとなるだろう。マルアイのブースでもハードカバーのコンパクトノート「STOCK BOOK」を展示していた。



 次のページでは、文具王が各ブースを見た中で気になった文具を画像多めで紹介していく。

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