コミュ上手を手本にしない、ちょっと意外な“脱コミュ障”へのプロセス(2/4 ページ)

» 2014年02月21日 11時00分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]

眞山: お客様から私の上司に対して「眞山を外してくれ」とクレームをもらったこともあります。そこまではっきり言われるぐらい、お客様に不快感と不安感を与えてしまっていたわけです。

 不快感というのは、たとえばお客様に何か質問された時に、つっけんどんな返事をしてしまうということが積み重なっていたようです。また不安感について言うと、例えば客先で作業をするときに、ひとり黙々とExcelに向かっているだけで、「その作業にはどんな意味があるのか」「進行は順調か」といった状況をお客様に伝えることができていませんでした。そうすると、お客様の側からは状況が見えないので「本当に進んでいるんですか」と不安な思いをさせてしまっていたのです。

――そういった部分は、それまでは上司がカバーしてくれていたわけですね。

眞山: そうですね。自分が矢面に立ってみて、初めてできないことに気がついて、胃に穴が空くぐらい悩みました。

(写真はイメージです)

コミュニケーションのうまい人はお手本にならなかった

――上司からの注意とか指導はなかったのですか?

眞山: それが、特になかったんです。当時の上司はコミュニケーションが天才的にうまくて、自分では特に意識することもなく当たり前にできてしまう人だったので、何を指導すればいいかも分からなかったんだと思います。

――なるほど。名選手は名コーチならず、という感じですね。しかしそんなうまい人が身近にいたら、勉強になりそうなものですが……。

眞山: そうでもありませんでした。確かに天才的にうまいんですけど、それだけに「こんなこと、とても自分には無理……」としか思えなかったんですよ。自分のコミュ力のなさに気がついて、顧客からもキツいクレームを受けている状況で、身近な上司のやり方を見ていると天性の才能というものを感じてしまい、「とてもあの人みたいにはなれない」と思ってしまう……ますます自信喪失して八方ふさがりになりましたね。

――そうだったんですか……言われてみると私にも同じような経験がありました。確かに、天才的にうまい人の真似は無理でした。

眞山: そうなんです。上司は教えてくれない。でも何とかしなくてはいけない。だから当時いろんな人に相談しました。その相談の仕方がまた今思うといかにもコミュニケーション下手で、どうしようもないんですけれどね。でもそこから道が開けたんです。

――それは誰か特定の人へ相談したことによって、ですか?

眞山: ええ、そうです。当時ある研修を受講した後、講師の先生に、「できれば自分のコミュニケーション能力がどうだったか、フィードバックをくださいませんか」とメールしたんです。たぶん今から思うとちょっと失礼なことだったんですけど、でもその先生はなぜか私を寿司屋に連れて行ってくれて、実に上手に質問を引き出してくれました。そうして分かったのが、結局「うまい人の真似をしようとして、できずに袋小路に陥っている」ということでした。

――でも、何かを学ぶのに「うまい人の真似をしてみる」というのは自然な発想ですよね。

眞山: ええ、でも現にそれで行き詰まって自信喪失してしまっていたわけですから、別な道に目を向けるべきでした。

――なるほど、ではその「別な道」というのは?

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