これが自分の求める生き方――子どもの頃の夢で初心に返るやる気がわいてくるたった1つの方法(1/2 ページ)

サッカー選手、宇宙飛行士、パイロット――。誰にも子どもの頃の夢はあっただろう。しかし、希望の仕事に就ける幸運な人間は少ない。働き方のストーリーが持てれば、どんな仕事でも意味を感じられ、毎日を充実させられるのである。

» 2014年08月05日 11時00分 公開
[榎本博明,Business Media 誠]
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連載「やる気がわいてくるたった1つの方法」について

『やる気がいつの間にかわいてくるたった1つの方法』

本連載は、心理学博士・榎本博明氏著、日本実業出版社刊『やる気がいつの間にかわいてくるたった1つの方法』から編集転載しています。

「日曜の夜は憂鬱(ゆううつ)になる」「自分に合った仕事に巡り会えればきっと仕事を楽しめるのに」――。そう考えている人たちに向け、「自分に向いている仕事さがし」ではなく自分の「仕事づくり」のコツとして仕事を意味づける“ストーリー”をキーワードに解説しています。

そのコツを習得すれば、転職することなく、今の仕事に対して自然にやる気がわいてきて、仕事を楽しめるようになるといいます。

どうせ働くのなら、楽しみながら働くコツを身につけてみるのはいかがですか。


子どもの頃の夢を思い出したときから、仕事が楽しくなった

 2010年に公開された映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』を観て、心を大きく揺さぶられ、自分の子どもの頃の夢を思い出したという人がいた。

 大手家電メーカーに勤める主人公は、仕事は順調にこなしているが家庭を顧みずに働いていたため、妻や娘とのすれ違いが多かった。そんなとき、50歳を前にして取締役への昇進を告げられる。だが、同期の仲間が工場長をしている工場のリストラを担当させられ、その同期の仲間は物づくりへのこだわりから退職を決め、その後交通事故で死亡する。また、遠く離れた故郷でひとり暮らしをする母親に悪性腫瘍が見つかり、入院生活を余儀なくされる。

DVD『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(松竹)

 久しぶりに故郷の実家でくつろいだ主人公は、かつて自分が集めていた電車の切符を見つけ、子どもの頃の夢は地元の電車の運転士になることだったのを思い出す。そして、今の自分、これまでの人生を振り返る。家族を気づかう余裕もなく、同期の仲間の気持ちや人生を傷つけ、自分自身息切れしている。はたしてこれが自分の求める生き方だったのか――。

 悩み抜いた末に主人公は、自分らしい人生を求めて会社を辞め、地元の電車の運転士となった。乗客との気持ちのふれあいがあるローカル電車の仕事を通して、一流企業のエリートだった頃は経験できなかった充実感を覚えるのだった。

 この映画を観て、自分の子ども時代の夢を思い出して初心に返り、つまらなかった今の仕事に対してやる気がわいてきたという人がいた。車の修理工場に勤める男性だ。

 「いつの間にか油まみれの肉体労働に嫌気がさして、適当に義務感でこなしていたんですけど、この映画を観て、僕は車が好きで、車に関係する仕事がしたくて修理工場に就職したのを思い出したんです。これまでは、単調な作業の繰り返しに思えて、毎日『つまらない、つまらない』と心の中でつぶやきながら嫌々やっている感じでした。でも、これは自分が好きで選んだ仕事だったんだって思い出して、毎日にハリが出てきました」

 また、この映画の影響を受けたという住宅販売の仕事をしている女性はつぎのように語った。

 「住宅って、そう簡単に売れるもんじゃないじゃないですか。すごく高価だし。だから、どんなにうまく営業をかけたって断られるばかり。毎日断られ続けるのって、気持ちがすごーくへこむんです。

 そんなとき、『RAILWAYS』を観て、私は小さい頃から『おうち』に夢を持っていて、現実にはしょぼい家に住み続けてきたわけだけど、家には夢があるって思ってこの仕事に就いたんだっていうことを思い出したんです。それからは意識が変わりました。売れる売れないに関係なく、モデルルームを見に来てくださるお客さまの夢の実現にできるだけ力になりたいっていう気持ちで、応対に集中するようになりました。私の接客態度が変わったせいか、お客さまとの対話も弾むようになり、あっという間に1日が終わるようになりました。義務感でただ何となく接客していた頃と比べて、自分の時間を生きてるっていう気持ちになれます」

 仕事を幼い頃の夢に結びつけたストーリーの中に置くことによって、退屈でつまらない仕事が楽しく充実した仕事へと一変したのである。

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