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» 2014年11月19日 08時00分 UPDATE

ナレッジワーキング!!:「すばらしいアイデア」に要注意、スタートアップを始める前に (1/2)

「世界を変えるアイデアだ」――それを思いついたのは、あなた1人だけとは限りません。アイデアは温めるよりも、まずは世の中に出してみるべきです。

[永田豊志,Business Media 誠]

 企業の新規事業開発担当者や起業を目指す人から、こんな相談をもらうことがあります。

 「……というビジネスモデルなんですが、どう思います? いけますかね?」

 こういうとき、いつも筆者は同じ返答になります。

 「ビジネスモデルが優れていても、同じアイデアを持つ人が1000人はいると考えたほうがいいですよ。周囲が『それは面白い』と評価するものは、特に注意が必要です。それよりも、ビジネスモデルを吟味する時間があるのであれば、少しでも早く実行したほうがいい。綿密に計画しても失敗や軌道修正は不可避だから、早いほうが痛みも少なく、成功パターンを見つけるのも早い。迷っている時間が一番もったいない」

差別化するには2つの道しかない

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 こうした考えの背景には、筆者自身のリクルート時代の新規事業、その後のいくつかの創業、そして周囲の起業家たちの浮沈を見てきた実体験があります。仕事柄、非常に多くの起業アイデアを耳にしてきましたが、面白いと思うものでも、参入障壁が大きいものは意外と少ないものです。つまり、競合との戦いは避けられないということです。

 そして、同じアイデアを持つ人は想像以上に多いため、それらの人々と差をつけるためには「アイデアは同じだが、まったく異なるアプローチ」をとるか、「誰よりも早く始めて、速くPDCAを回す」ほかありません。

 「まったく異なるアプローチ」派であれば、後発でも十分成功する可能性が高いでしょう。実際、Googleが検索エンジン市場に参入したときには、すでに世界中にさまざまな検索エンジンが存在しました。後発でありながら、「被リンクの貼られたページの上位表示」「事前クローリングでインデックスを作成する」などユニークなアプローチで形勢逆転し、現在では市場の9割を占めるまでになりました。

 しかし、競合に対する強みが明確でない場合もあるでしょう。最初は強みだと思っていても、実際には有効ではなかったというケースも少なくありません。そんなときのシンプルな戦略としては「実行スピードの速さ」に尽きます。競合が1カ月かけてスタートするものを1週間で完了させ、相手が1週間かけて決断することを即断できれば、その改善スピードによって形勢を逆転できるはずです。

アイデアはマーケットでしか評価できない

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 「黄金」「必勝」のビジネスモデルというのはありそうでありません。周りの評価が素晴らしいアイデアには、何かトラップがつきものです。むしろ、クロネコヤマトの宅急便のように、創業者のアイデアに社長以外の全役員が反対するようなアイデアのほうが大きく成功しているものです。

 だからこそ「一見、良さそうなアイデア」にうぬぼれるのではなく、また周囲に反対されたから「アイデアをあきらめる」のでもなく、客観的な評価を基に判断すべきです。つまり、市場に評価してもらうということです。新規ビジネスをやりたければ、いかにそのアイデアをマーケットでトライアルできるかに集中すべきでしょう。

 自分の資本でスタートする人は思い切りやっても、誰からも文句を言わないかもしれません。しかし、企業内起業家で上司や役員を説得するのに時間がかかりそうな場合は、テストマーケティングする機会を得ることが一番重要なポイントです。

 そうした機会で試し、戦略やサービス、コンセプトを練り直すことができれば、市場の声によって叩かれ、研ぎ澄まされたリアルな事業戦略が作れるはずです。いきなり大きな予算を確保しようとして時間をかけるくらいなら、テストマーケティングの予算だけでも確保するとよいでしょう。

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