「どんな人がタイプ?」といった“恋バナ”ができなくなる(かも) 職場のLGBT問題水曜インタビュー劇場(LGBT公演)(1/7 ページ)

» 2015年09月16日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 「彼氏(彼女)いるの? どんな男性(女性)がタイプ?」――。

 このような“恋バナ”は盛り上がることが多いので、オフィスの中でもしばしば語られる。コミュニケーションのひとつになっているかもしれないが、近い将来、NGになる可能性があるのだ。

 い、いきなりどういうこと? と思われただろうが、これは「LGBT」の問題にかかわってくるのだ。LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字をとった言葉で、性的マイノリティーを指す。この言葉は、ここ数年で急速に広まった印象を持っているが、「自分の身の周りにはいないので、関係ないや」と思っている人も多いのでは。今回、このテーマを取材するにあたって、記者の周囲に聞いて回ったところ「ウチの会社にはいない」「出会ったことがない」「噂でも聞いたことがない」といった返事が目立った。しかし、現実は違う。

 電通ダイバーシティ・ラボの調査によると、日本でLGBTに相当する人の割合は5〜7%と推定されている。ちなみに、血液型AB型の人や左利きの人は10%程度なので、それよりもちょっと少ない感じ。そんなにいるのになぜ会ったことがないの? と感じられたかもしれないが、周囲の人に伝えられない……いわゆるカミングアウトできないケースが多いという。

 「セクハラ」「パワハラ」という言葉が定着したように、「LGBT」と向き合わなければいけない日がやって来るだろう。LGBTを支援する動きは、自治体で広がっていて、東京渋谷区は10月に、同性カップルを結婚に相当する関係として認める「同性パートナーシップ証明書」の発行を始める。このほかにも、世田谷区、大阪市淀川区、那覇市、兵庫県宝塚市、奈良市なども支援に乗り出している。

 さて、企業はどうか。あまり知られていないが、実はグローバルに展開している日本企業の中には既に対応しているところがあるのだ。また、国内を中心に展開している企業でも、従業員向けに研修を行うなど、さまざまな形で取り組みが始まっている。

 少し前起きが長くなってしまったが、冒頭の会話に戻ろう。「彼氏いないの? どんな男性がタイプ?」――この発言のどこに問題があるのか。既にお察しの読者も多いと思うが、LGBT問題に取り組んでいるNPO法人「虹色ダイバーシティ」の村木真紀さんに解説してもらった。前後編でお送りする。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

電通ダイバーシティ・ラボの調査によると、日本でLGBTに相当する人の割合は5〜7%(写真はイメージです)
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