ここ数年、「LGBT」という言葉に触れる機会が増えたのではないだろうか。LGBTとは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)、T(トランスジェンダー)をはじめとする性的少数者のこと。LGBT問題に取り組む企業は増えていて、ある調査によると「LGBT対応の基本方針あり」という企業は、この1年で1.28倍に。増えているなあという印象を受けるかもしれないが、2014年は114社で、2015年は146社。企業の数を考えればまだまだといったところだ。
なぜ、問題があることは分かっているのに、取り組みがなかなか進まないのか。LGBT問題に取り組んでいるNPO法人「虹色ダイバーシティ」の村木真紀さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
→「どんな人がタイプ?」といった“恋バナ”ができなくなる(かも) 職場のLGBT問題(前編)
→本記事、後編
土肥: 前回、職場で起きているLGBTの問題をうかがいました。「彼氏いるの? どんな男性がタイプ?」といった日常的に使われている言葉も、人によっては“不快”に感じているかもしれない。じゃあ、そうしたワードは禁止……といった“言葉狩り”をするのではなく、不快に感じている人がいる――このことを認識することが大切といった話もうかがいました。
「LGBT」という言葉は、ここ数年急速に広まったなあという印象があります。しかし、LGBT特有の課題はまだまだ山積み。例えば、同性同士で結婚ができない、性別の変更が難しい、社会保障や福利厚生が受けにくいなどがあります。こうした日本の現状を受けて、国連の人権理事会から「人権侵害ではないか」と勧告を受けています。目の前に問題があることは分かっているのに、なぜ取り組みはなかなか進まないのでしょうか?
村木: LGBTの歴史を知らない人が多いからではないでしょうか。
土肥: 勉強不足です。教えていただけますか?
村木: 特定の性行為を犯罪とする「ソドミー法」があった18世紀の欧州では、例えば男性同士の性行為は「有罪」だったんですよ。多数のゲイは投獄されていました。その後、欧州諸国でソドミー法は廃止されたのですが、19世紀に入ると今度は「病気」として治療されるようになりました。例えば、精神病院に収容されて、ゲイであれば男性の裸の写真を見せられた上で、強い電気ショックを浴びせるなどです。これって治療というより、拷問ですよね。
土肥: ひどい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング