“TSUTAYA図書館”にNO! 「新図書館整備計画」の反対運動が増えている理由スピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2015年10月06日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。

 そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。


 “TSUTAYA図書館”が住民に「ノー」を突きつけられた(関連記事)。愛知県小牧市がカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)に運営を委託する新図書館計画をめぐって、4日に住民投票が行われ、「反対」が3万2352票となり、「賛成」の2万4981票を上回ったのである。

 もちろん、住民投票なので議会のような強制力はないが、市長はぜひともこの結果に向き合っていただきたいと思う一方で、あくまで野次馬的にこの結果を見ると、「案外、接戦だったな」というのが正直な感想だ。

 住民投票で計画白紙といえば、思い出すのが8月に行われた茨城県つくば市が305億円かけるという総合運動公園の基本計画。今や反対運動業界の「スター誕生」ともいえるTBS『噂の東京マガジン』が2回にわたって取り上げたことも追い風となり、住民投票の結果は、賛成1万5101票に反対6万3482票。賛成に対して反対が4倍ほどの大差をつけた。「民意」としてはこれ以上ないほど分かりやすい。

 つくば市のケースにくらべると、今回は賛成に対して反対は1.2倍ほど。約14万人を擁(よう)する小牧市で「7000人差」というのはかなり微妙で、どちらが勝ってもおかしくない戦いだったということがうかがえる。

 では、このような接戦のなかで、最終的に勝負を決したものはなんだったのだろうか。

 計画に反対されている「小牧の図書館を考える会」のWebサイトやその主張などを拝見させていただくと、「そら反対するわなあ」という要素が山ほど見つけられる。

新図書館のイメージ(出典:小牧市)
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