藤原: さて、前置きが長くなりましたが、20世紀に出世できた人というのは、正解があることが前提で、それをできるだけ速く正確に解けるタイプでした。そうした人材を日本は増産していたんです。情報処理力が高ければ課長になることができて、定年退職すればそれなりの退職金を手にすることができる。定年後は年金で暮らす……というモデルがあったわけですが、それが崩れてしまった。
土肥: 正解がなくなってきた?
藤原: ですね。バブル景気が崩壊したときは、まだ9割ほど自明な正解が残っていたかもしれませんが、それがどんどん少なくなってきて、いまは正解がある問題なんて半分くらいかも。こうした流れを止めることはできません。今後も正解がある問題の割合はどんどん少なくなっていくでしょう。一方、正解を言い当てる能力があっても、「それって、コンピュータがやってくれるよね」といった感じで、人間が情報処理力を生かせる領域はどんどん狭くなっていきますよ。
土肥: 人間の働く場所がどんどん少なくなっていくような(怖)。
藤原: 「自分には情報処理力があるんだ、その得意分野でやっていくんだ」と思っている人は、今後厳しくなっていくでしょう。繰り返しになりますが、これからの時代は違う。多くの人が納得できる解をどれだけ生み出すことができるか。正解を当てるのではなく、創造性が必要になってくるのでしょう。
土肥: レゴをつかって、家をつくったり、ビルをつくったり、街全体をつくったり?
藤原: ですね。そうしたことができる人が、これから出世できるのではないでしょうか。
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