安っぽいコンビニの「おせち」が、高級路線に転換できた理由コンビニ探偵! 調査報告書(3/5 ページ)

» 2015年12月10日 08時00分 公開
[川乃もりやITmedia]

ある「事件」でコンビニおせちが注目

 そしてもう1つ、コンビニおせちが高級路線になった出来事がある。2011年に起きた「スカスカおせち事件」だ。いまでも記憶に残っている人が多いだろう。そう、共同購入サイトの「グルーポン」(GROUPON)がやらかしたアレだ。

 グルーポン経由で買うと2万1000円のおせちが半額で購入できるということで、またたく間に完売。しかし、届いたおせちは「スカスカ」だったのでネット民は大騒ぎ。社会問題にまで発展した。

 この事件は消費者に「安かろう悪かろう」という印象を与えたと同時に、「販売者が見えない不安」というネット販売のデメリットをも浮き彫りにした。「おせちはある程度値段が高いモノ。安いモノに飛びついたら損をする」という考え方を再認識させるものだった。

 コンビニの常識は「2万円のおせちを店で販売するの? そんなモノ売れないよ」であったが、世間の感覚は違う。「おせちは高いモノ」という意識があるので、コンビニおせちを高く感じていなかったのである。近年、有名百貨店や料亭のおせちなどは10万円以上するモノも珍しくない。「販売者が見える」「内容も充実してきている」「近くの店舗で買える」「値段もそこそこ」――これが、コンビニおせちが注目されてきている背景だ。

こだわりおせち二段重(出典:ファミリーマート)

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