2016年、記者が注目しているモノがある。小型無人機「ドローン」だ。
「なーんだ、企業がドローンを使って新しいビジネスをするという話でしょ」とか「千葉の幕張で、ドローンを使って宅配をするという計画でしょ」と思われたかもしれない。もちろんこうした話題も気になるが、それだけではない。災害によって地形が変わってしまったエリアを、ドローンを使って「最新の地図を作ろう」という世界初のプロジェクトが進んでいるのだ。その名は「災害ドローン救援隊 DRONE BIRD(ドローンバード)」。「なにそれ、初耳」という方もいらっしゃると思うので、簡単にご紹介しよう。
大地震が起きたら、この道路は大丈夫なの? 洪水が起きたら、どこに逃げたらいいの? 火山が噴火したら、溶岩はどこまで広がっているの? こうした不安を払しょくするためには、災害現場の「今」を知ることが必要だ。しかし、ヘリコプターや人工衛星を使って確認するには半日から2日ほどかかってしまう。
そんな課題を解決するために「ドローンバード」の活躍が期待されているのだ。人や建物に当たったとしても被害を最小限に抑える小型軽量のドローンを使って、各地の拠点から被災地に急行して空撮。その映像はWeb上で共有され、それをもとに最新の地図が“でき上がっていく”という仕組みだ。
「災害時のピンチを救ってくれるのは誰なの?」「どういった人たちがドローンを操縦するの?」といった疑問をもたれたかもしれないが、政府組織や国際機関に属している人たちではない。訓練を受けた人たちが「ドローンバード隊員」として“出動”するのだ。2020年までに隊員を100名育成し、全国10カ所に基地を設置。地図を作成する人たちを常時1000人動ける体制にし、ドローンから空撮された被災地の状況を最短2時間以内に公開するという。
「映画やドラマのような世界だな」と思われたかもしれないが、現実の世界で動き始めているのだ。しかし、大きな問題がある。運営資金である。現在クラウドファンディングを使って資金を募っているが、目標金額の4000万円を集めることができるのだろうか。旗振り役の古橋大地さん(青山学院大学教授、クライシスマッパーズ・ジャパン代表〈NPO法人申請中〉)に話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。
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