日本では、グローバル化が進んだことで、格差や貧困率も米国に近づきましたが、これに対して国はなんらかの施策を打ってきたのでしょうか。
答えは、ノー。貧困の対策としては生活保護がありますが、増え続ける生活保護者に対して、国は給付の実質切り下げと、保護の対象を厳しくするということで対応してきました。
自民党の提示する憲法草案の中には、生活保護になるような身内は家族で面倒を見るということまで書かれています。
さらに、社会のセーフティーネットである社会保障については、財政難を理由に国は、2015年度予算で介護報酬の引き下げや年金のマクロ経済スライドの発動、協会けんぽの国庫補助金の引き下げなども行い、社会保険費を約3900億円削りました。加えて、2016年度から3年間は「骨太の方針」で、さらなる社会保障費の削減が進められていきます。具体的には、9000億〜1兆5000億円規模の削減を行います。
安倍政権が発足して3年になりますが、その間に企業の内部留保は約70兆円も増えました。特にグローバルに展開する輸出企業は、国の円安誘導政策でもうけ、消費税のアップでもうけ(輸出企業は消費税を払うのではなく還付金として消費税をもらいます)、法人税引き下げでもうけてきました。アベノミクスでは、大企業がもうかったらそれが中小企業や庶民家庭にトリクルダウンする(上からしたたり落ちる)という説明でしたが、家計は円安誘導政策での物価の上昇でダメージを受け、消費税のアップでダメージを受けました。
加えて、老人家庭の場合には、ここに年金の実質目減りという大きなファクターも加わるので、富める老人と貧乏な老人の格差はますます広がる一方ということです。そういう意味では、国の政策で明るい老後を予見するのは難しくなってきています。
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