社員にプロジェクトを押しつけていた失敗から学んだこと「よなよなエール」流 ガチンコ経営(5/6 ページ)

» 2016年05月12日 08時00分 公開
[井手直行ITmedia]

 そんな試行錯誤が続いたプロジェクトですが、最初のころの混乱期を何とか乗り越えると、チームとしての土台が強固になってきました。そうなると意思決定も次第に早くなり、ついには個人では成し遂げられないような大きな成果が出始めたのです。

 一番の成果は、ファンを集めての新製品発表会の大成功でした。自分たちが主催して行うファンイベントは初めてのことでした。集まってくれるファンはいるのか、喜んでくれるのかなど、不安はたくさんありました。しかし、フタを開けてみると、集客面ではWebサイトで申し込みを開始した途端、すぐにチケットが完売するほどの人気となりました。

 当日のイベントも会場一杯にファンが集まり、大盛況でした。こんなにファンが喜んでくれて盛り上がるとは。ファンの前で恥ずかしかったのですが、感動して涙があふれ出しました。その姿を見て何人かのファンも泣いています。そして「てんちょ! がんばれー!」と応援してくれました。そんなイベントの帰りの新幹線でほかのスタッフとともに話したことは今でも忘れられません。「今日は仕事人生で最も楽しく幸せな日だった。頭が真っ白だ……」。

 このようにプロジェクトメンバーは当初の狙い通り成功体験をチーム内で共有し、その醍醐味と成果をまた別のプロジェクトでも生かそうと、周りのスタッフにプロジェクトの良さを一生懸命伝える、という行動をとり始めました。プロジェクトに参加していないスタッフからも、その成果の大きさとプロジェクトメンバーの充実ぶり、成長ぶりを評価する声が出てくるようになり、次第にプロジェクトへの理解が得られるようになってきたのです。

2015年に初開催した一大プロジェクト「よなよなエールの超宴 in 新緑の北軽井沢」 2015年に初開催した一大プロジェクト「よなよなエールの超宴 in 新緑の北軽井沢」

 こうなるまで本当に大変でした。諦めずにプロジェクトを通じてチームで仕事をすることを推し進めて本当に良かった、自分の選んだ道は間違っていなかった。その後いくつかのプロジェクトが成果を出し始めてそう実感し、熱いものが体の中からこみ上げてきたことをはっきりと覚えています。

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