願望系でリードする(1/2 ページ)

» 2016年08月26日 05時30分 公開
[泉本行志INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:泉本行志(いずもと・たかし)

 サンダーバード国際経営大学院卒業(MBA取得)。外資系大手経営コンサルティングファーム、外資系大手IT企業、ベンチャー企業での事業立ち上げを経て、株式会社アウトブレイン社を創業。現在はロジックと感情を融合した思考法を活用し、事業アイデアの立案・戦略策定・業務改善コンサルティング、問題解決手法の教育プログラムを開発・提供している。ブログ「Knowledge Bridge (知見を繋ぐ・感情を伝える〜)


 プロジェクトが山場を迎えたり、予期せぬ問題が連発したりして、仕事量や精神的プレッシャーが増えてくると、だんだん余裕がなくなり、チーム内に異様な緊張感と、殺伐とした空気が漂うことがあります。

 こんなとき、みんなの心の中は「もうこれ以上余計な仕事増やすな」というような、何事に対してもやや否定的な感情を抱きやすい状態にあります。通常、そんなピリピリとした雰囲気の中では、人のIQは下がっていき、「こんなときに限って……」という余計なミスが発生し、仕事がさらに増えるという悪夢の法則が働きます。

 リーダーであるあなたはそんな状態を見かねて、「もっと○○すべきだろう」と論じて引き締めを図ったとします。しかし、反応は冷ややか。みんなの内心は、

 「出たー、正論……」
 「それなら、自分でやってみろよ〜」

 何とかしようといくら正論を吐いたところで、プレッシャーの中、余裕なく疲弊している人たちを動かしていくのはなかなか難しいことです。そんなとき、ちょっと言い方を変えるだけで、随分と反応が変わります。

 それは、「願望系」で話すというやり方です。

 いきなり「○○すべきだ」という評論家的な(人ごとに聞こえる)言い方をするよりも、まず「●●な状況でマジ大変だよね」と同調した上で、「自分は○○したい」(願望)という主観的な「願望系」の言い方をする方が、受け入れられやすいことが多い。

 例えば、「会社としての目標が○○なんだから、今月中は何としてでも××を達成しないとならない」と、組織の論理から話をするリーダーよりも、「こんな状況なんだけど、私はこのチームで××を達成したいんですよ〜」と自分の願望系で話す方がいい。

 この方が、リーダー自身が当事者として、主体的に仕事に取組んでいる感がある。厳しい状況の中でも、リーダーとして、何かしら「余裕がある」印象すら与え得ます。

「願望系」で話すほうが受け入れられやすい(写真と本文は関係ありません)
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