世の中の変化が激しく、何が成功につながるのかが分かりづらい現代社会。情報があふれる今、正しく未来を読むことは非常に難しくなっています。
このような時代に必要なのはファッズをつかむことです。ファッズとは小さな変化の波のことです。巷で流行り始めている店や、最近人が集まるようになってきた場所、売れ始めてきた商品などには大きな時流へとつながるヒントがあります。正しく未来を読むためにはファッズを見逃さないことが大切なのです。
この連載ではファッズをとらえて流行をつかむことをキーワードに、繁盛店から次のマーケティングトレンドを読み解きます。
東京・銀座6丁目。銀座中央通りに面した場所に、銀座地区最大の商業施設面積を持つ大型複合施設がオープンしました。「GINZA SIX(ギンザ シックス)」です。
プレオープンから4月20日のグランドオープンまで、連日のようにたくさんの来店客で賑(にぎ)わっています。グランドオープンの開店時には2500人が行列を作り、開店直後は入店2時間待ちという状況でした。大型店の業績が芳しくなく、アパレル業界が低迷する中、ギンザ シックスはどのようなコンセプトで生まれたのでしょうか。また、この新しい施設は銀座にどんな価値を与える存在となるのかを探ります。
ギンザ シックスがオープンした立地は、以前は松坂屋銀座店があった場所です。既にここに松坂屋があったことを覚えている人のほうが少ないかもしれません。
松坂屋銀座店は1924年12月に開店しました。その後、時代が目まぐるしく変化する中で、建物の老朽化とともに店舗面積の小ささ(約2万平方メートル)もあって、以前から建て替えの構想がありました。しかし、周辺道路の関係などから広い敷地を確保できず、地権者を含めて周辺商業者との調整が必要でした。
そこで、2003年に銀座六丁目街づくり協議会を発足させ、銀座6丁目の松坂屋を中心とした地域を再開発するというプロジェクトが進められることになりました。街づくりの視点から店のあり方を考えるという長期構想の下で地元と協議を重ね、2011年に都市計画が決定、2013年に松坂屋銀座店の建物の解体が始まりました。実に構想14年、それが結実したカタチがギンザ シックスなのです。
グランドオープン前後の報道を見ると、ギンザ シックスはそのラグジュアリー感がよく取り上げられていますが、実はほかの商業施設では珍しい、いくつかの特徴的な取り組みがあるのです。ここでは建物としての視点、商業ビルとしての視点、そして事業モデルとしての視点から整理してみます。
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