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» 2017年05月24日 11時00分 UPDATE

メンタルヘルス対策のポイント:後悔から生まれた“こころの天気予報” (1/4)

研修や情報提供などのメンタルヘルス対策を実施しても、効果が見えづらいと感じることも多いだろう。従業員の気分の変化を“見える化”してメンタル不調を予防するシステムを開発したIT企業の事例から、メンタルヘルス対策のポイントを探る。

[加納由希絵,ITmedia]

6月病特集:

 「新しい環境に慣れない。思い描いてた未来と違う」――昔から5月はメンタル不調を起こしやすいといわれてきた。しかし近年、6月にメンタル不調を起こす“6月病”に陥る社員が増えているという。本連載では、6月病の正体と、それに立ち向うためのヒントを探る。


 メンタルヘルス対策に必要なのは“予防”――。従業員の気分の変化をいち早く察知するためのシステムがある。従業員が気分に合ったお天気マークを選ぶだけで、管理者にメンタルの変化や対応方法を知らせる「コンケア」だ。メンタル不調による離職者が相次いだIT企業の後悔と反省から生まれた。

 研修や情報提供などのメンタルヘルス対策を実施しても、なかなか効果は見えづらい。そういった課題を抱える人事担当者は多いだろう。従業員の気分の変化を“見える化”することで離職者を減らした企業の事例から、メンタル不調を予防する考え方を紹介する。

photo スマートフォンで表示した「コンケア」の画面。6種類の天気マークで気分を表現する

離職者が相次ぐ

photo エクスブレーン取締役の石田有さん

 コンケアを開発したのは、IT企業のエクスブレーン(群馬県前橋市)。2014年10月から製品販売を開始し、現在は60社以上に導入されている。利用者数は1万人を超えた。3万人規模の大企業もテスト導入を始めたという。

 開発のきっかけは、自社でメンタル不調による離職者が相次いだことだった。従業員数約30人規模の会社だが、客先に常駐する勤務形態のエンジニアが多く、従業員の勤務状況を把握しづらかった。2010〜11年、客先から「エンジニアが急に来なくなった」と連絡が入ると、それが2人続いた。しかし、そのときは「客先と合わなかったんだろう」と、自分たちと関係ない理由付けをしてしまった。

 ところが、今度はオフィス内で働く入社2年目の社員が会社に来なくなってしまう。「(その社員は)明るいムードメーカー。全然気が付かなかった」と、取締役の石田有さんは悔しさをにじませる。会社の外で本人に事情を聞いてみると、「実は仕事がつらかった」「周りの人は忙しそうで言えなかった」という言葉が出てきた。つらくなってしまった自分を責める姿を見て、石田さんは「なんとかしなければ」と強く感じた。

 企業向けにメンタルヘルス対策のサービスを提供する会社を片っ端からあたり、考え方などが自社に合っていた東京メンタルヘルス(東京都豊島区)に依頼。まずは管理職向け研修を実施した。しかし、石田さんには不安が残った。「研修内容は良く、参加者が話を聞いて吸収する感じがあった。しかし、終わってしまうと変わらない日常が続いている。メンタル不調に陥る社員がまた出るのでは」。「二度とメンタル不調者を出さないためにはどうすればいいか」を真剣に考え始めた。

 そこで行き着いたのが、「毎日気分を記録するツールを使って、予防する」というアイデア。自社の技術を使って開発もできる。そのアイデアを東京メンタルヘルスに持ち込み、共同開発をスタートさせた。

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