盛り上がる「スキルシェア」 なぜ人気?スクールよりも……

» 2017年12月13日 17時41分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

 自分が得意とするスキル、知識を個人間(C2C)で提供し合える「スキルシェア」サービスが盛り上がりを見せている。スキルシェアとは、個人が講師として教えたいスキルをサイト上に掲載でき、学びたい人とマッチングするサービスだ。受講料は講師が自由に設定できる。

 フリマアプリを運営するメルカリは来春から、スキルシェアサービス「teacha(ティーチャ)」をリリースする。語学やプログラミング、料理、スポーツなどの幅広い領域で個人が、1時間単位でスキルをシェアできる。12月12日から、ユーザーの事前登録受付と、イベントスペースなどを貸し出す企業や自治体などの事業パートナーの募集も始めている。

 類似のサービスとしては、2011年リリースの「サイタ」、2012年リリースの「ストアカ」などがあり、いずれもユーザー数を順調に伸ばしている。

 サイタはサービス開始から5年で累計受講生数5万人を突破。提供する習い事のジャンルは、語学、音楽、スポーツ、話術など300種類を超える。

photo 「サイタ」

 もともと「ドラム教室」をメインとしたサービスだったこともあり、最も人気があった講座は5年連続で音楽系となっている。音楽系以外では、最近はカメラ系(「Instagram」のスキルなど)の受講が増えているという。

 「ストアカ」はサービス開始から5年で、累積受講者数が14万5000人と急成長している。提供する講座のジャンルは170以上で、講師の登録者数は1万人を超えた。

 ビジネススキル系の講座が人気であり、プレゼンテーションや資料作成、ITスキルなどの講座を受けるユーザーが多いとのこと。もともと男性ユーザーが多かったが、徐々に女性ユーザーも増えてきており、最近はメイクやファッションなど、「自分磨き」に関する講座も人気が出てきているという。

photo 「ストアカ」

「教える」「学ぶ」ハードルを下げた

 なぜ、スキルシェアサービスにユーザーが集まるのか。要因の1つには「手軽さ」が挙げられる。これまでは、前述したようなスキルを身に付けるためには、企業や専門講師が提供するいわゆる「スクール」に通うのが一般的だった。しかし、費用が高額なものも多く、拘束時間も長い。

 ストアカを運営するストリートアカデミーは「C2Cのスキルシェアなら、教わりたいポイントを絞り込んで、効率的に学ぶことができる。費用も安価なものが多いので、教えてもらうことへのハードルが下がる」と説明する(例えば、プレゼンや資料作成は人気講師の講座でも3000〜5000円程度の受講料が多い)。

 また、講師(講座)の数が多い分、好きな時間帯を選べたり、どの講師にするかという選択の幅も広い。講師を選ぶときには受講者のレビューを参考にして判断することができる。

 講師となるユーザーにとっては、自分の得意なことでお金を稼げるほか「“力試し”の場として活用する人が多い」(ストリートアカデミー)そうだ。独立を目指しているが、まずは自分のスキルが市場でどのくらい受け入れられるのかを試したいのだ。また、受講者からのレビューが講師としてのブラッシュアップにもつながる点も大きなメリットとなっているようだ。

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