「モバイル向けゲームにとどまらず、家庭用ゲームを作ることは昔からの夢だった。任天堂の『ファミリーコンピュータ』に青春をささげ、中学校の卒業文集に『ソフトを作りたい』と書いたほど。ハードは変わったが、その夢がようやくかなう」――グリーの田中良和社長は2月2日開いた決算会見でこう話した。
グリーは同日、家庭用ゲーム市場に参入すると発表。第1弾として、任天堂の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」向けの自社IP(知的財産)「釣り★スタ」を年内にもリリースする計画を明らかにした。
今後は他社IPを活用したタイトルの開発も検討中。ゆくゆくは海外展開も視野に入れており、中国語圏・英語圏に販路を拡げる可能性もあるという。
田中社長は家庭用ゲーム市場参入の狙いについて「グリーを総合力で勝てる会社にしたいと考えたため」と説明。
同社はモバイル向けソーシャルゲームを中心に展開してきたが、田中社長は「モバイル向けゲームしか作れないようでは今後勝ち残れない。家庭用ゲームに手を広げることで、さまざまなIPホルダーに(開発元として)選んでもらえる存在になっていきたい」と展望を話す。
「ゲーム業界では、あるIPでモバイル向けゲームを出すと、同じIPの家庭用ゲームも売れるという現象がしばしば起きる。その逆もまたしかりだ。今後はモバイルに特化せず両者を継続的に出すことで、全体の収益を総合的に伸ばしたい」(田中社長)
第1弾のタイトルを「釣り★スタ」に決めた理由について、田中社長は「さまざまな家庭用ゲームの過去の売れ行きを研究した結果、釣りゲームに底堅いニーズがあることが分かった。まずはこのニーズを手堅く押さえて売り上げ実績を作りたい」と説明した。
グリー上級執行役員の荒木英士氏によると、Switch版「釣り★スタ」のゲーム内容は「これまでとは全く別物」。Switchの多機能コントローラー「Joy-Con(ジョイコン)」を生かし、「リールを巻くなどのアクションを取り入れたものになる」という。
販売形態は売り切り型とし、課金要素は設けない予定としている。
だが、今後のSwitch向けタイトルはその限りではなく、「任天堂の意向に合わせて、課金システムの導入にも柔軟に対応したい」(荒木氏)とした。
グリーは今後、人員の採用を進めて開発体制を強化し、家庭用ゲームの量産体制を築く方針だ。正社員以外のさまざまな雇用形態のスタッフを採用するほか、外部企業への委託も積極的に活用していくという。
田中社長は「一連の施策によって家庭用ゲーム事業を成長エンジンとし、モバイルに並ぶ事業の核としたい」と意気込んだ。
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