女子アナから働き方を変えた前田有紀さんがいま伝えたいこと好きをカタチにする行動力(4/6 ページ)

» 2018年02月13日 07時00分 公開
[伏見学ITmedia]

自分でハードルは作らないほうがいい

 1年半ほど前に起業、独立したことで、これまでと価値観などは変わったのだろうか。

 先述した通り、アナウンサー時代も一生懸命で楽しかったが、基本的に受身の仕事だったという。「今日はこの台本を読んでください」と渡されて、それを一言一句間違いなく読んで視聴者に伝える。仕事の中身も、自分がこれをしたいという意見よりも、言われたシフトに従って業務に当たることが多かった。気が付くと受身になっている自分がいた。

 しかし、今の仕事を始めてから、すべての仕事の主導権は自分にあって、仕事の内容自体も自らクリエイトしていく必要がある。能動的になったことが大きな変化である。

 「今は毎日が決断の連続。たくさんのお仕事をいただく中で、何をして、何をしないかを自分自身で決めるし、お金のこともそう。どういう風に経営をしていくか、すべてが自分にかかっています。これは会社員時代にはなかったことです。大変と言えば大変だが、好きなことを仕事にしているので、やりがいがはるかに上回っています」

 子どもを産んだこともその気持ちを強くさせた。1歳の息子を持つ前田さんは保育園探しの真っ只中にいる。「保育園に入れるのはとても大変。フリーランスなのでなおさら。もし会社員でいたならば、『何だよ、国は何もしてくれなくて……!』と受身の考え方だったかもしれないけど、今はそんなことも言ってられないし、たとえ預ける場所が見つからなくても、何とかして子どもを育てながら、自分の好きなこともやり遂げるぞと、燃えに燃えています」と前田さんは力を込める。

 今子育てしていて時間ないからなどと、言い訳を作ろうとすればいくらでもできる。けれども、やってみたら意外とできることはあるのだ。彼女はまさにそれを体現している。

 妊娠した後、起業して自分で花と植物の仕事をやっていこうと周囲に話したら、子育てしている友人に「大変だから無理だよ」と止められた。それでもやりたいことだったから、どうにか子育てしながらでもできる道を見つけようと必死で考えた。それが今につながっている。

 「一般的には無理だと思われていても、実はその気になればできることってたくさんあるのです。自分で勝手にハードルを作らないほうがいいと思います」

 そんな彼女の元には人生相談のメールが来ることが少なくないという。好きなことがあるけど踏み出せない、自分も花屋になりたいけども会社勤めしていて迷っているなど、さまざまだ。

 そんな相談を受けながら、皆が皆好きなことを仕事にする必要はないと思うが、現状を楽しみきれていない人は多いのではと、前田さんは感じている。

 「好きなことのために時間を費やすのは、必ずしも仕事を辞めなくてもできることなので、少しずつでも行動に移していくのは大事だなと思います。私は思い切って会社を辞めましたが、当初は親に反対されました。かじりついてでもテレビ局にいなさいと(笑)。でも、こうして今、幸せそうに仕事している姿を見て、親も良かったねと言ってくれるようになりました」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.