iQOSの技術と特許について研究している、ノースイースタン大学(マサチューセッツ州ボストン)のグレゴリー・コノリー教授は、iQOSがユーザー情報を収集する能力を備えていることは、目覚ましいパワーをデバイスに与えると話す。
「彼らが獲得するものは、アメリカ人の喫煙習慣に関するメガデータだ」と同教授は言う。「そのうえで彼らにとって可能となるのは、iQOSの現行の喫煙(吸い込み)パターンをプログラムし直して、強化し、中毒性を高めることだ」。
同教授のコメントに対し、PMIは同社のサイエンス・広報担当バイスプレシデントのモイラ・ギルクリスト氏の1月の発言を引用した。同氏は米食品薬品局(FDA)の諮問委員会で「iQOSからユーザーが摂取するものをいかなる方法でも操作するような意図を持った技術はない、ということは改めて確約できる」と述べている。
PMIは、同社がデバイスからデータを収集するのは、デバイスの不具合の原因を究明しようとする時に限られるとしている。
ギルクリスト氏はFDAの諮問委員会で、iQOSユーザーは、従来のたばことほとんど同レベルのニコチンを摂取すると述べている。PMIは、iQOSのデバイスを調整してニコチン量を変えることはできないとしている。
<データ収集>
ギルクリスト氏は、iQOSから、ユーザーが何回吸煙を行ったかなどのデータを収集することはできる、としながら、デバイスのテクニカルな問題を解決するため以外にはそれをしない、と話した。吸煙の回数とたばこ1本あたりの吸煙時間は、デバイスによって自動的に上限が決められているという。
PMIは、加熱式たばこであるiQOSは、燃焼式である紙巻きたばこと比べ、ユーザーが摂取する発がん性物質やその他の有害物質を大幅に削減するとしている。その結果として「喫煙に関連する病気のリスクを減らす可能性がある」と主張する。
iQOSは、タバコ葉を含むたばこのような「ヒートスティック」をペンサイズのホルダーに差し込んで使う。ホルダーの中には「ブレード」と呼ばれる加熱する部品が入っている。デバイスはUSBコードに接続され、販売されている何カ国かでは、ブルートゥースのワイヤレス通信につなげることができる。
PMIはiQOSについて、どうしても禁煙できない人のための商品としており、米FDAに対し、たばこよりも害が少ない商品として販売する認可を申請している。
FDAの諮問委員会では今年1月、たばこからiQOSに完全に切り替えた場合、喫煙者が摂取した有害化学物質が大幅に削減されたとの検査結果を承認した。
しかし、同時に病気や死亡率を「測定可能な、かなりの割合」で減少させるという「説得力ある蓋然(がいぜん)性」をPMIは示していないとも指摘した。
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