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リモートワークすると会社の中身がすべてオープンになる経営戦略としての「働き方」を考える時代(2/3 ページ)

» 2018年05月29日 06時30分 公開
[石倉秀明ITmedia]

リモートワークを導入するメリット

採用力が圧倒的に向上する

 人口減少や働き方の自由化に伴い、現在の会社経営において、採用をはじめとした「人」の調達が難しいことは言うまでもありません。

 キャスターグループは、主力事業としてオンラインでのアウトソーシングを提供しているので常に採用をしていますが、創業3年半の会社に毎月1000人前後の応募が来ます。それも、スポットで働く人の募集ではなくフルタイムの社員募集に、です。

 この状況から分かることは、リモートワークであれば今までの経験やスキルを生かして全力で働ける、働きたいという方がまだまだいる、ということです。

オープンなコミュニケーションが前提となり「現場」の情報が入ってくる

 リモートワークで働く場合、基本のコミュニケーション手段はチャットになります。チャットツールの中が職場=オフィス、ということになるわけです。

 事業やチーム単位でオープンなグループを作り、その中で仕事のやりとりを全て行なうことが前提になります。すなわち、会社で行われている全ての業務がオープンになっているのです。(原則、個別DMなどで仕事のやりとりをすることを禁止しています)

 もちろん役員や組織長もそのグループに参加しているので、黙っていても「現場」で何が起きているのか、情報が入ってきます。

 これは実際に全員リモートという環境で働いてみて気付いたことなのですが、こうした環境の方が、オフラインで働いている時よりも圧倒的に現場のことが見えやすくなっています。

 オフラインで働いていたら会議で報告されないことは分からない、見えない。けれども、オンラインであれば会議やミーティングがなくても見えること、入ってくる情報が多く、スピード感を持って意思決定できるようになります。

Zoomというツールを使ってミーティングする様子 Zoomというツールを使ってミーティングする様子

場所や時間が自由になるので、「役割」と「結果」でつながることになる

 リモートで会社をやっていることを話すと、必ず聞かれることは「評価はどうやっているのか」という点です。結論から言うと、「評価できるかどうか」よりも「会社と個人の関係性の違い」を認識することが重要です。

 リモートで働くと「場所」は完全に自由になります。また、「実際にどのくらい業務をしたのか」は申告してもらうものの、完全に全てを把握することはなく、「時間」もオフラインで働いている時に比べて自由になります。そうなると、会社と働く個人として約束することは「役割」と「結果」のみです。

 会社は、あなたにこういう「役割」、こういう「結果」を期待している。その結果、いくらの給与である、ということを明示し、社員はそれを約束する。「結果」が十分に達成された場合には給与は上がるし、達成できなければ給与は下がる。そういったシンプルな仕組みになっています。

 何時間働けるとか、どこに住んでいるかなんて全く関係なく、フラットに「何の役割をしていてどんな結果が出たのか」だけで会社は判断すればいいですし、社員としてもそれ以外のことは関係ありません。

 だからこそ、時短だろうが、海外に住んでいようが、「実力がありその仕事に適任であればアサインすればよい」というのが基本の考え方になり、採用も非常にシンプルになります。

 キャスターグループには社員として働きながら自分の会社を経営していたり、時短で働いていたり、いくつかの仕事をしていたり、といったメンバーが多数いますし、会社へのコミット時間に関係なく「役割」と、そこに求められる「結果」が出せていれば問題ない、という考え方を持っています。

 例えば、30人規模のサイバーセキュリティの会社を経営しながら、キャスターの新規事業・セキュリティ関連の社内体制整備を行っているメンバーや、平日はキャスターで働き、週末は他の企業の採用業務を行っているメンバーがいるのです。

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