インタビュー
» 2018年06月04日 07時15分 公開

「プロ経営者」インタビュー【前編】:社員の働き方を変える実にシンプルな方法 カルビー・松本会長 (1/4)

「プロ経営者」として日本を代表するカルビーの松本晃会長兼CEO。今月末でカルビーの会長職を退任予定の松本氏に、同社での9年間を振り返ってもらうとともに、注力した働き方改革についてインタビューした。

[伏見学,ITmedia]

 日本を代表する「経営のプロ」として活躍するカルビーの松本晃会長兼CEO。6月20日に開かれる同社の株主総会で退任するが、一息つくまもなく6月24日からRIZAPグループの代表取締役COO(最高執行責任者)に着任する予定だ。

 伊藤忠商事、ジョンソン・エンド・ジョンソンを経て、2009年6月にカルビーに入社した松本会長の経営手腕は、その後の同社の業績に鮮明に表れている。2009年3月期の売上高は1373億7700万円、営業利益は44億800万円。これを2017年3月期には2524億2000万円、288億4100万円と、売上高を約2倍、営業利益を6倍以上に成長させた。

 そんな松本会長にカルビーの経営トップとして過ごした9年間を振り返ってもらうとともに、特に力を注いだ働き方改革について話を聞いた。

カルビーの松本晃会長兼CEO。「フルグラ」をヒットさせて日本のシリアル市場を拡大するなどして、在任中に業績を大きく伸ばした カルビーの松本晃会長兼CEO。「フルグラ」をヒットさせて日本のシリアル市場を拡大するなどして、在任中に業績を大きく伸ばした(撮影:小池義弘)

「やり足りない」なんて言い出せばきりがない

――カルビーの9年間を振り返り、ご自身が最も大きな成果を上げたと思うことは?

 「良い会社」から「強い会社」になるかもしれないなという雰囲気が出てきたことでしょうか。

 カルビーは昔から良い会社。人も良いし、商品も良い。就任当時の業績も悪くなかったです。ところが、強くなかった。

 これからもカルビーが国内市場でぬくぬくとやっていこうと思えば、僕なんて必要ではなかった。スナック菓子に関して元々カルビーはダントツで、はっきり言って敵なんていませんでした。ただ、国内でもっと成長するとか、海外でビジネスを広げていこうとなれば、当然ライバルが変わってきます。

 例えば、シリアル食品ではマイナー会社だったので、ケロッグに勝つというのは1つの挑戦でした。結果、国内では勝ちましたけど、あんなものでは駄目だと思っています。野球で言えば、今は3回裏を終わって2対1のようなもの。9回までだいぶ残っているし、場合によっては延長戦になるかもしれません(関連記事:“不毛時代”続いたカルビー「フルグラ」がなぜ急激に売れ出したのか?)。

 ちょっとくらいは強くなったという感じはありますが、本当に強い会社になっていたら、海外事業でこんなに苦しまないです。海外に出てみると弱さが目立ちます。

――このタイミングで退任されるわけですが、正直まだやり足りないですか?

 やり足りないなんてことはまるでありません。「あとちょっと」とか「いや、あれが終わるまで」なんて言っていたらきりがないです。ある時期が来たら次の人にどんどん代わっていくのが会社ですよ。

 結局、僕は9年間CEOをやったけど、振り返れば1年長かったかなと思っています。

――9年前と比べてカルビーはどう変わりましたか?

 テーマの1つだった女性登用によって社内の雰囲気は変わりましたし、働き方を改革したら早く帰宅する人や、オフィスに来ないで自宅で働く人もたくさん出てきました。

 こないだもある社員が非常に働きやすい会社だと言ってくれました。いくつか理由があると思いますが、勤務時間が自由だし、どんどん権限委譲します。他社と比べて官僚的なところは少ないでしょう。そういった意味で働きやすいのでは。

――松本さん自身のビジネスマン、経営者としての長いキャリアの中で、カルビーの9年間はどう評価されていますか?

 一言でいうと楽しかったですよ。楽しさはいつも仕事しながら求めてますからね。楽しいこと、そして成功すること。これは非常に大事です。

――それは松本さんが仕事をする上での必須条件ですか?

 もちろん、成功したけど、楽しくなかったということもあります。だから必要条件は楽しいこと。十分条件は成功することです。

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