土肥: 5月8日、京急本線の高架下に「タイニーハウスホステル」がオープンしました。遠くから見ると「なんだあれは?」と感じましたし、ホステルの前を歩いていた地元住民の人からも「なんですかここは?」と聞かれていました。日本ではまだまだ馴染みのない「タイニーハウス」について話を聞かせてください。
相馬: かつての米国では「大きな家に住む」「広い庭にプールがある」といった感じで、「大きい」「広い」といったワードが豊かさの象徴だったわけですが、リーマンショックをきっかけに変化が出てきました。多額のローンを返済することができない人は、住み慣れた家を引き払うことになって、それまで築いてきた人間関係も失うことに。
不景気が長く続いたので、「必要最小限のモノを所有する」「ローンを抱えずに小さなところに住む」といった人が増えてきました。こうした背景があって「タイニーハウス」が広まっていきました。
日本でも東日本大震災をきっかけに、「不要なモノは持たない」といったライフスタイルが注目を浴びましたよね。モノを減らすだけでなく、働き方を変えたり、人との距離感を見直したり。こうした流れを受けて、タイニーハウスが注目され始めたのかもしれません。
土肥: 日本でもジワジワ広がっているようで、いくつかのハウスメーカーが「タイニーハウス」と銘打って、小さな家を販売していますよね。YADOKARIではどういったきっかけでタイニーハウスに目を付けたのでしょうか?
相馬: 当社は13年に創業しまして、共同代表の2人は以前IT企業で働いていました。住宅ローンを抱えて、朝から晩まで仕事に追われていたんですよね。大事な人と一緒に過ごす時間がなかなかとれなくて、「自分は何のために働いているのか?」と疑問を抱くように。そうしたときに海外でシンプルな暮らしをしている人が増えているといったニュースを見て、タイニーハウスに興味をもちました。
日本には遊休地がたくさんある。そうしたところに小さな家を建てればおもしろいことができるのではないかと考え、タイニーハウスの事業を手掛けることに。15年に限定10棟を販売しところ、想定以上の反響がありました。数千人から問い合わせがあって、すぐに完売。価格が300万円ほどだったので、「ちょっと買ってみるか」といった人が多かったのかもしれません。
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