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» 2018年06月26日 18時34分 公開

DeNAラミレス監督もユーザー:口コミで国内50万ユーザー突破 ビジネスチャット「Slack」が支持されるワケ

日本語版リリースから半年で、ビジネスチャットツール「Slack」のDAUが50万人を突破した。6月26日開かれた会見にSlack経営陣とユーザー企業が登壇し、国内で支持される理由とユースケースを解説した。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 「日本におけるDAU(1日当たりのアクティブユーザー数)が50万人を突破し、本国・北米に次ぐ世界第2位の市場になった」――ビジネスチャットツール「Slack」を展開する米Slack Technologiesのスチュワート・バターフィールドCEO(最高経営責任者)は、6月26日に都内で会見し、こう発表した。

 Slackは、個人チャット、グループチャット、音声通話、ビデオ通話などの機能を備えるチャットツール。Salesforceや基幹業務ソフト(ERP)のSAPなど他社ツールと連携して業務効率化に活用できる点も特徴だ。2013年に英語版をリリースし、日本語版は17年11月から提供している。

 このほか、ドイツ語、フランス語、スペイン語にも対応。18年6月現在、DAUは全世界で800万人に上る。

photo ビジネスチャットツール「Slack」日本語版の画面

国内ユーザーは半年で5割増

 日本語版をリリースした段階の国内の週間アクティブユーザー数は約33万人。単純な比較はできないが、約半年でユーザー数は50%超も増加したことになる。

 バターフィールドCEOは「日本のビジネスパーソンは、常に業務を改善し、完璧にすることを求めている。世界のさまざまな技術を取り入れることに抵抗がない。ハードワークをいとわず、協調性を重んじる文化があるからだ」とみる。

 普及の経路については「口コミで広がった。『上司ともっと対話し、信頼関係を深めたい』と考えた人々が自ら導入し、TwitterやFacebookなどに感想を投稿。それを見た人たちがダウンロードしてくれた」(バターフィールドCEO)とみている。

photo 米Slack Technologiesのスチュワート・バターフィールドCEO

「チャンネル」のオープンさが魅力

 また、日本法人「Slack Japan」の佐々木聖治カントリーマネージャーは「(グループトーク機能の)『チャンネル』でオープンなコミュニケーションが図れる点、ファイルやデータをリアルタイムで共有可能な点、過去のあらゆる会話内容を検索して業務に生かせる点なども評価されたのだろう」と分析。「2025年までに、電子メールに置き換わる存在になりたい」と力を込めた。

 ただ国内では、ChatWorkの「チャットワーク」、米Microsoftの「Skype」、LINEとワークスモバイルの「LINE WORKS」など競合がひしめく。

 佐々木氏は国内市場で強固な地位を確立するための戦略として、(1)サポート体制の強化に向けて人材採用を進め、年内にも日本法人の社員数を30人程度に増やす、(2)100以上の他社ツールと連携する、(3)顧客同士がつながり、成功事例や有効活用法を共有するためのコミュニティーを作る――の3点を掲げた。

photo Slack Japanの佐々木聖治カントリーマネージャー

ラミレス監督もSlackユーザー

 会見に出席したユーザー企業、ディー・エヌ・エー(DeNA)の成田敏博 IT戦略部長によると、同社は4年前からSlackを使い、現在は全社に導入。プロ野球チーム「横浜DeNAベイスターズ」のアレックス・ラミレス監督も先日アカウントを開設し、今後のコミュニケーションに生かしていくという。

 外部ツールとの連携も積極的に進め、チームメンバーからのFAQ(業務に関する問い合わせ)に自動で答えるチャットボットをIT戦略部に導入。今後は人事部門や総務部門に広げる計画もあるという。

photo 横浜DeNAベイスターズの公式Webサイト。ラミレス監督監督もユーザーだという

 経費精算にもSlackを取り入れた。財務システム上で部下が経費申請すると、管理職のSlackに通知され、Slack上で確認・承認できる仕組みを採用。上司・部下の双方から「承認までの時間が早くなり、ストレスなく仕事に臨めるようになった」との声が出ているという。

 また、Slack上で社内のトイレの空き状況を質問すると、すぐに答えてくれるチャットボットも導入。「『2階のトイレが混んでいるから3階に行こう』という意思決定も早くなった」と成田氏は笑う。

メルカリはSlackで経営と現場の距離を近づける

 先日東証マザーズに上場を果たしたメルカリもSlackのユーザーだ。同社の唐澤俊輔 執行役員兼社長室長は「企業の規模が大きくなった反動として、経営と現場の距離が遠くなる課題もあった。この解消にSlackが一役買った」と話す。

 メルカリでは基本的に、個々人がSlackで1対1の会話をするのではなく、チャンネル上でオープンな会話をすることを推奨している。そのため、「チャンネル内に経営陣がふらっと参加して、一般社員と議論を交わすこともある」(唐沢氏)という。

 経営陣が自分の意見を発信するチャンネルも設けており、「創業者の山田進太郎CEOも好きなことをつぶやき、それを一般社員がフォローしている」(同)とのこと。

photo メルカリの山田進太郎CEO(=6月19日の上場会見で撮影)

 ただ、所属するチャンネル数が増えると、会話・閲覧の優先順位付けが難しくなる――という欠点があるのも事実だ。メルカリはこれを防ぐため、不要なチャンネルから抜けることを推奨する日「リーブデー」を定期的に設けている。「わだかまりなく退出できる点が好評で、経営陣が作ったチャンネルから一般社員が抜けることも当然になっている」と唐沢氏は話す。

 メルカリの事例からは、Slackが単に業務や意思疎通のスピードを早めるだけでなく、社内のオープンな雰囲気の醸成にも貢献できることがうかがえる。

 Slack Japanの佐々木氏は「ユーザー企業を拡大し、『お疲れさまです』『よろしくお願いします』で会話を挟むビジネスメールの作法から解放された、明るく働きがいのある職場を作っていきたい」と抱負を語った。

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