女性、シニア、外国人、障害者、LGBTなど多様な人材を受け入れ、生産性向上や市場ニーズへの対応を目指す「ダイバーシティ」の重要性が高まっているが、この考え方を推進している企業はどの程度存在するのか? 人材会社エン・ジャパンが調査した結果、「実施していない」と答えた企業は59%だったのに対し、「実施している」企業は32%にとどまった。
ダイバーシティ推進に苦慮している企業からは、「B2C(消費者向け)ビジネスなので、やはりお客さまなど周囲からの評判は気になってしまう」「性別に関するダイバーシティ推進については、トイレの整備など、インフラ面で対応が困難な場合が多く、人事側だけで対応できないことが多い」といった意見が出た。
「経営陣が高齢で、固定概念が強く残っているため、ダイバーシティを推進しにくい。多様性を認めすぎてしまうと既存社員の業務に影響が出てしまうのではないかと心配」「社員数が少ないので、ダイバーシティの推進に賛同しない社員がいると、逆に、賛同しない社員がマイノリティーになってしまい、社内の環境が悪くなる」との声もあった。
ダイバーシティを推進している企業を規模別にみると、従業員数が1000人以上の大企業が58%を占めた。1000人未満の中堅・中小企業は26〜36%にとどまった。業種別では、広告・出版・マスコミ関連(50%)、メーカー(42%)、サービス関連(34%)などに多く、不動産・建設関連(9%)などは少なかった。
推進の目的は「優秀な人材を確保するため」(58%)、「働きやすい職場にするため」(52%)、「多様化する市場に対応するため」(49%)、「社会的責任のため」(37%)、「法律順守のため」(28%)など。
具体的な取り組み内容は、「多様性のある人材の採用」が77%で最多。「多様性のある雇用形態・就業規則の採用」(31%)、「多様性のある組織配属」(29%)、「多様性のある働き方(テレワークなど)の導入」(28%)、「多様性のある価値観・考え方の醸成」(20%)と続いた。
採用を進めている人材は「女性」(79%)、「外国人」(50%)、「障害者」(46%)、「時短勤務するスタッフ」(38%)、「高齢者」(34%)、「LGBT」(12%)の順に多かった。
ただ、推進している企業からも「会社という大きな組織では理解が進んでいるが、職場単位では個々の問題が起きている。個々人が該当する社員との関係性が高くなった時の意識や行動の重要性を理解しないと、真のダイバーシティは進まないと感じる」と課題を指摘する意見が挙がった。
調査は2018年9月26日〜10月30日にかけて、同社のサービス「人事のミカタ」を利用している企業563社を対象に実施した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング