兼高さんの「42歳定年説」に触れたのは、10年9月に小学館から発行された著書『わたくしが旅から学んだこと』を読んだとき。内容は、生い立ちと「世界の旅」のエピソード、旅を通して見た世界と日本、人生の旅をテーマにした3章に分かれ、「42歳定年説」は第3章に出てくる。
兼高さんはピアノやバイオリンなどの遊芸を楽しむ米国軍将校や、若くしてリタイアし世界中で撮影旅行をしている米国人など、世界の各地で人生を謳歌し、楽しんでいる人々と出会う。
ひるがえって日本を見ると、終身雇用が主流で、定年まで会社で働く一律の人生を送る人が多い。けれども、日本人も人生の目的や幸せを考えて、自分で人生を設計してもいいのではないか――その思いから42歳定年説が生まれている。
では、なぜ42歳なのか。42歳は大卒で就職して約20年がたち、まだまだ働き盛りで気力も体力もある年齢といえる。ここでいったん定年という区切りをつけてみることで、会社にいるからこそ仕事ができると考えて残るか、会社を辞めて一本立ちをするか、一度考えてみるといいと兼高さんは提唱している。
確かに42歳くらいになれば、どの程度まで出世するかなど、自分がこの先どのような会社人生を送るのかも見えてくる。一方で独立した場合は、会社員よりも生活は不安定になり、経済的にはそれほど豊かにはならない可能性もある。
でも、考えた上での決断であれば、どちらの道を選んでも心の豊かさは得られるのではないか、というのが兼高さんの「42歳定年説」だと、自分なりに解釈している。
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