なぜ? ANAがヤフオクにファーストクラスのシートを出品した理由テレワークにも使える?(2/2 ページ)

» 2021年09月21日 08時55分 公開
[上間貴大ITmedia]
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「お客さまが価値を判断して」

 今回の取り組みは2021年5月に全日空商事側からヤフーへ提案したという。なぜオークション形式での出品なのか、全日空商事の担当者は「これまで定額で販売したこともあるが、値付けが難しく、お客さまに価値を決めてもらおうと判断した」と説明する。

 同社ではこれまで、実機で使用していたアウターペーン(アクリルの窓)をキーホルダーに加工したものや操縦かん、コックピットパネルなどのリプロデュース品を「ANAコレクターズグッズ」シリーズとして公式ECサイトで販売してきた。

 しかし航空機ファンなどからは「商品として加工されていない航空機部品がほしい」といった要望があり、 実際に使用していた一点ものの部品やエアライングッズをオークション形式で販売することにしたという。ヤフオクへの開店以降は、公式ECサイトで展開する商品とラインアップをすみ分けて展開していくとしている。

ANA ECサイトとすみ分けて展開(出所:プレスリリース)

 また、コロナ禍で飛行機に乗る機会が減少する中、「顧客満足度の向上も図っていきたい」と話す。「航空業界全体がコロナ禍でお客さまとのタッチポイントが少なくなる中、『オークションに参加してみようかな』『ANAグループ面白いことやっているな』といったわくわく感を感じ取っていただければ」

 ヤフオクのメインユーザーは、20〜40代の男性。ヤフー側は同グループの出店によって新たな層の利用を見込む。「過去にも航空業界の商品は取り引きされているため、既存ユーザーも関心を持っていると思う。ただ今回は航空会社からの出品とのことで、新たなユーザーがヤフオクに参加するきっかけになると思う。多くの人にオークションの楽しさを知ってもらえたら」(ヤフー担当者)

 これまで、ヤフオクでは個人間での機材部品の売買はあったというが、航空会社が公式ショップを構えて出品するのは初めて。今後も航空会社や鉄道会社からの提案があれば「一緒に取り組みたい」と前向きな姿勢を示した。

ANA 窓枠の裏面

 一体どれくらいの価格で落札されるのか、両社とも「未知数」だと説明する。ちなみに送料は別。直接の引き渡しにも対応するとしている。

ANA テレワークにも活用できる?

 第2弾のは10月頃を予定していて「国際線ビジネスクラスのモックアップシート(スタッカード)」や「JA8094 機体識別板(ボーイング 747-400)」などを出品する。以降は月に1回のペースで2〜3品を展開するとしている。

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