カインズに売られた「東急ハンズ」は、なぜライバル「ロフト」と差がついたのかスピン経済の歩き方(6/7 ページ)

» 2022年01月18日 09時45分 公開
[窪田順生ITmedia]

ロフトとカインズの共通点

 カインズという企業は、東急ハンズのような自分たちの品ぞろえやプロ意識という「こだわり」がそれほどない。むしろ、ロフトにも似た「しなやかさ」を感じる。それがうかがえるのがPBだ。東急ハンズのように「私たちは商品のプロです」というような気負いがなく、ロフトのように「たまたまいい商品見つけたので、相乗りしてみました」くらいのノリなのだ。

店舗数を増やしているカインズ(出典:カインズのFacebookページ)

 例えば、カインズはDIYツールなどで「Kumimoku」というPBがある。おしゃれなデザインの工具などがそろっているが、カインズが主役というよりも、コラボ先の老舗工具メーカーのベッセルやゼットソーの品質をアピールする。例えば、カインズのライフスタイルショップ「スタイルファクトリー」のある店舗ではこんな手書きポップが掲げられている。

 『ゼットソー× Kumimoku 昭和18年創業以来 使う人に満足して頂ける製品づくりを社是に掲げ、徹底した品質管理に力を入れている確かなのこぎりブランド! ハンディのこぎり、マルチソーなどKumimokuシリーズで登場!』

 このように自社の「こだわり」や「らしさ」などそっちのけで、「時代」や「トレンド」を柔軟に切り取っていくスタンスは、ロフトの「時の器」というコンセプトと近いものがある。

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