ファミレスは危機に陥っている!? サイゼリヤとガストで明暗が分かれたワケ長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

» 2022年11月15日 06時38分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

すかいらーくが注力していく店舗

 もちろん、ガストも改装を行い、充電用コンセントやフリーWi-Fiを完備。席も2人用、4人用を中心にして、テレワークや少人数の黙食に対応する仕様に変えているが、なかなか思ったようには顧客が戻ってきてくれない。

ガストのモーニングメニューの1つ。パンケーキを中心にしたメニュー、今はソーセージが入る

 配膳用の“猫ちゃんロボット”はエンターテインメントとしても面白く、お店で活躍しているが、集客の決め手にはなっていない。

 逆に増えたのは、むさしの森珈琲で28店増、バーミヤンとから好しの22店増、ラ・オハナの15店増。いずれも、同社再構築の希望の星だ。しゃぶ葉の7店増も、会社全体が苦戦している中にあって善戦している。

むさしの森珈琲。ジョナサン跡に出店

 ハワイアン業態のラ・オハナは、ファミレスとは思えない作り込まれたメニュー、空間で評判を呼び、コロナ禍で一気に増えてきた。専門性が高く、ロコモコ、アヒポキ、コナコーヒーなどハワイ料理が受けている。直近2店の実績では、19年比で売上高111%増となっている。

ラ・オハナ。海外のレストランみたいな外観

 顧客単価も1700〜2000円くらいに達していて、ガストよりは2倍に近い。場所を選ぶ業態かもしれないが、次世代ファミレスの1つの形として当面急成長が続くだろう。50店体制を目指している。

ラ・オハナのサーモンアヒポキDON。平日ランチ、パンケーキとドリンク1杯付きで1738円

 むさしの森珈琲は、コメダ珈琲店に競合する郊外型喫茶。ラ・オハナと共通するメニューもある。居心地の良さを優先しているのが特徴で、座り心地の良い椅子を配置している。席間の距離もたっぷり取っていることから、感染症対策を気にする人にも喜ばれている。1杯のコーヒーの分量が、通常の喫茶の2倍くらいあるのも支持されている。直近5店の実績では、19年比で売上高92%増となっている。

 バーミヤンは中華、しゃぶ葉はしゃぶしゃぶ。両方ともやはり専門業態だ。ファミレスも専門性で選ばれる時代となっている。

バーミヤンの店舗外観

 専門性が高くても、ステーキガストや夢庵は店舗数が減っている。ステーキガストは郊外にも出店してきた、いきなり!ステーキと競合し、もともと苦戦していた。いきなり!ステーキは衰退したが、代わりにやっぱりステーキという、さらに低価格のステーキ店が台頭したため、圧迫されている。

 夢庵は和食の業態。シニア世代を中心に宴会が多かったが、コロナ禍で宴会需要が消失した。

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