ファミレスは危機に陥っている!? サイゼリヤとガストで明暗が分かれたワケ長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)

» 2022年11月15日 06時38分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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専門業態の強み

 外食では仕入価格、人件費、光熱費、輸送費の高騰で値上げが続いていて、すかいらーくグループでも今年10月から平均で約5%値上げした。ところが、サイゼリヤでは価格を維持している。それも、好調の要因だ。

 今までミラノ風ドリアやパスタだけ食べて帰っていた顧客が、アロスティチーニやデザートも注文するようになったので、顧客単価が上がっているから、価格維持も実現可能だ。22年8月期の既存店顧客単価は、前期比で約5%上がっている。

サイゼの人気メニュー「ミラノ風ドリア」

 サイゼリヤには、イタリアンという専門業態の強みがある。そして、ミラノ風ドリアやアロスティチーニの爆発的な商品力が後押ししている。

 一方のすかいらーくも問題点に気付いている。だから、ガストにから好しのあら揚げを組み込んで、売りにしようとした。しかし、から揚げの店は競合他社が多過ぎた。居酒屋業界では、総合居酒屋から焼鳥の「鳥貴族」、串カツの「串カツ田中」、海鮮の「磯丸水産」のような専門居酒屋へのシフトが顕著だ。それと同じ流れが、ファミレスにも来ている。ファミレスもまた、専門性の高い業態が選ばれる傾向が高くなってきている。

 そこで、 むさしの森珈琲、ラ・オハナ、バーミヤン、しゃぶ葉といった専門業態を強化して、V字回復を果たそうと懸命だ。

サイゼリヤ。新しいメニューの1つ、ブロッコリーのくたくた。南イタリアの家庭料理
サイゼリヤ、小エビのサラダ
サイゼリヤのグランドメニューの一部
サイゼリヤでは、非接触性を高めるため、紙に記入して注文する方式に変更

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


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