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» 2004年07月25日 23時17分 UPDATE

書店流通システムに採用するRFIDの真価とは

HITACHI-ITコンベンション 2004開催2日目のセミナー講演では、流通システムにおけるRFID利用事例として、展示ブースにも再現されていた書店イメージについて同社ユビキタスグループ兼先氏から解説された。

[木田佳克,ITmedia]

 情報通信の事業コンセプト「uVALUE」で、ユビキタス情報社会における価値創造をテーマとした「HITACHI-ITコンベンション 2004」。本カンファレンス&セミナーでは、「情報管理」がOAの域を超えて日常生活に欠かせないライフラインとなる時、企業はどのように関わればよいのか。日立の構想や事例が具体化された。

 開催2日目を迎えた23日には、ユビキタスプラットフォームグループ ユビキタスソリューション統括本部、ソリューションビジネス本部、システムフロントセンタ担当部長の兼先隆之氏が登壇し「RFIDタグを活用した流通業向けモニタリングソリューション」と題した講演が行われた。

IMG_3829.jpg 兼先氏は、講演で書店流通におけるRFID利用を主題とした

 兼先氏は、「RFIDは世界的に注目されており、日立からもより小型化を行ったミューチップで推進している。機運が高まっていることが確かだ」と背景について触れる。さらに、映像とRFIDを連動させる真価についてが日立の取り組みであることを挙げ、この講演でのポイントとなることを示した。

 最近注目されている街頭監視は凶悪犯罪に対するものだが、個人情報漏洩の世相を反映し、カメラの設置は進んでいると語る。書店での現状を見れば、万引き問題が一店舗でも年間100万円などと損失が大きく、店によっては死活問題となっている。このような背景で書籍流通におけるRFID利用の真価は、出版社、物流、取り扱い店、書店に至るまでトータルなトレーサビリティ実現が可能になることだと挙げた。

IMG_3807.jpg 「RFID利用は流通全体に関わるビジネスモデル」と兼先氏。中でもこの講演では、写真内の赤文字で示された領域に触れた

 例えば、書店から離れ古書業者で考えれば、IDタグの情報を読み取り、書店でのレジを通過しているかどうかを判別、通過データがなければ盗品だと判断可能なわけだ。もちろん、棚卸しが楽になるなども管理上で根底にある効率化ポイントだという。

導入効果を追求しなければ実現に至らない

 兼先氏は、RFIDタグ自体のコストも見逃せないという。「業界では、例えばタグ単価が50円を切ったなどと言われニュースとなるが、物量との関係が重要であり、そうタグ単価は下がらない」と語る。それならばいっそう「費用対効果を考えなければならない」と兼先氏は言及し、現在はいかに効果を上げるかがキーポイントとなっているという。単に棚卸しなどが楽になる、といったメリットでは顧客ニーズを満たせないと語る。

 そこで日立が着目したのがRFIDと監視システム(映像)のデータ連携との見解だ。

 情報の価値を高める指針として、「誰が商品を持ち歩いたのか?」は、情報として大きな意味を持つと語る。情報を特定させるために、商品へRFIDタグを付けるのであり、映像記録と同期させることで人の行動をパターン化し、情報化させることが目的とのことだ。実は、IDタグと映像の連動は現行でもある(EAS)。多くのケースでは、警告音が鳴っただけでは店員の対応が難しいという声が多く、アラートが発せられた時点で映像記録をすることは、後から録画を見直すことが可能となり、これは事例として確立されている。

 この事例にRFIDを関連付ける真価は、個々の商品(書籍)にIDタグを付け、本棚にもアンテナを配置することで、盗難防止だけに留まらない付加価値を見いだすことが目的だという。

書店流通システムのモデル化

 講演で主題となった出版におけるRFIDの取り組みは、「日本出版インフラセンター」が主導していると兼先氏。

IMG_3815.jpg 写真■書店内でも購入前から購入後までRFIDの情報が関わるトータルソリューションとなる

 盗難防止としての導入面だけではなく、集客アップとしての側面では、ケータイによるタイトル検索、書店内に設置する専用端末にシュリンクされた書籍をかざし、誌面内容確認が可能といった付加価値を挙げる。また、現在はWebによるオンラインショッピングが一般的となっており、リアルな書店へといかに足を運んでもらうかもテーマとなっている。書店離れを遊び心で購買意欲へと結びつけ、紹介映像なども流すことで付加価値をアピールするのだという。

IMG_3820.jpg 写真■付加サービスとしても側面がRFIDによる情報活用のキーになる兼先氏

アパレルやドラッグストア事例に見る付加価値の共通性

IMG_3825.jpg アパレル業界での利用事例

 兼先氏は、書店以外にも幾つかの事例を紹介した。アパレル業界での事例とし、RFIDタグと映像の関連でマーケティングへとつなげる応用の可能性を示した。カメラによる店内客の行動パターンを映像サンプルでデータ化し、アパレルでは特に季節ごとの販売効果を上げるべく、商品配置やニーズを陳列などにも反映させるといったものだ。

 ドラッグストアでの事例では、製品に付けるRFIDタグにより専用端末で効能確認できるなど、付加価値を見出すことが可能となるという。昨今、飲み合わせ上の問題があるかどうかなど薬事法改正も絡んでおり、24時間営業では常に薬剤師が居るには難しい面がある。人手を必要とせず展開できることが付加価値となると言及した。

 家電業界での応用としては、店舗によりポイントカードなどとの連携が考えられ、レジに顧客向けのモニタディスプレイを用意し、精算時に顧客ごとの情報を配信するなどといった付加サービスが考えられる。前回購入した製品のメーカーからの事後情報などを流すという。これらのコンテンツに対しても、日立はオンラインで配信するサービスを行っている。さらに、リサイクル法に関わる面でも効果的であり、RFIDタグがあれば廃棄の直前までどのような経路の製品であるかが把握でき、末端段階まで管理が可能となるのは大きなポイントだという。

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