RFIDと映像情報連携がユビキタス実現のパラダイムシフトへ

「比較的情報パターン化しづらい人間の動きは、IDタグと映像データ連携により情報化が可能となる」と日立製作所ユビキタスプラットフォームグループ、ソリューション統括本部の鈴木 仁氏。

» 2004年07月26日 01時09分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 情報通信の事業コンセプト「uVALUE」で、ユビキタス情報社会における価値創造をテーマとした「HITACHI-ITコンベンション 2004」。本カンファレンス&セミナーでは、「情報管理」がOAの域を超えて日常生活に欠かせないライフラインとなる時、企業はどのように関わればよいのか。日立の構想や事例が展示ブースや講演で示された。

 開催2日目の23日には、RFIDと映像情報の連携がユビキタス実現に欠かせないもの、と日立製作所ユビキタスプラットフォームグループ、ソリューション統括本部 ソリューションビジネス本部 部長の鈴木 仁氏から「拡大する映像・モニタリングの活用」と題する講演が行われた。

なぜ街角やオフィス以外でのIT化、ユビキタスが求められているのかをひも説いたユビキタスプラットフォームグループの鈴木氏

 鈴木氏は、「オフィスのIT化は進んでいる。しかし、街頭や店舗などの場は、企業のソリューションビジネスのチャンスがあると分かっていても、データ化を行うには難しい面がある」と語る。オフィスではIT情報をコントロールするPCを配置しやすい。しかし、街頭や店舗などはデータ収集するための機器を配置しづらいのが理由だという。

 「入出力情報が単純ではない。例えばコンビニでは、来客が動き回り、情報化するためにはPCを店舗内に置くこともできず、店員がキーボード入力などというのも現実的ではない」と鈴木氏。このような背景からも、来客データをデータ化するためには、映像データが入り込むのが自然だという。

 事例によっては音声データも関連する可能性もあり、データ量は膨大になる。しかし、「デジタル化への革新は止まることはなかった。これまでIT化のネックとしてきたものは解消されつつある」と語る。また、「インフラとしてもブロードバンドが利用できるため、トータルのソリューションとして考えればよくなった」と鈴木氏。

日立はユビキタス実現のために広範囲なデバイスとソリューションを持っている、と強調する

 日立のユビキタスソリューションの特徴は、メーカー視点から顧客の視点へがテーマであり、機能性よりも導入効果、そしてブランド価値をクローズアップしていくことだという。例えば、店頭に販促効果を狙い大型なプラズマディスプレイを設置しても、顧客からの魅力が見えなければ意味がない、顧客との対話があってこそ最終的な価値へと結びつくと語る。

 「その価値は何だろうか?」と鈴木氏。

 顧客の利益を見極める必要があり、Save Moneyで顧客のコストが下がる、Make Moneyで顧客の収入が上がると鈴木氏は大別する。RFIDと映像データの関わりには、3つの柱があると言い「映像配信」、「映像モニタリング」、「コミュニケーション」だと鈴木氏。常にSaveかMakeかどちらの側面であるかを見つめ、提案していかなければならないという。また、日立では、情報システムとの接続ノウハウ、Loss/TCO削減による統合化ノウハウを持っていることが強みだと強調した。

 そして、3つの柱に対する事例が示された。

映像配信事例

小田急電鉄による事例。リアプロジェクタを使い、複雑な情報表示が可能となっている
図書館向けのソリューション。図書館へコンテンツとして配信サービスを担っていることを挙げ、日本図書館協会との関係であることを触れた
ロイヤルパークホテルでの事例。ホテル内のサービスとしてメリットの追求が行えるという
店舗へのコンテンツ配信事例。コンテンツそのものを日立が作成し、ブロードバンドを利用して配信を行う「Media Space」。例えば、鮮魚売り場へ魚のおろしかたなども配信可能であり、各店舗ではサーバ設置の必要がなく、インフラを用意するだけですむ

モニタリングソリューション事例

ドラッグストアとして「マツモトキヨシ」への導入事例

コミュニケーション事例

生産管理での事例。タッチパネルPDPを利用して作業員への利便性を追求している
広告会社向けの事例。クライアント企業にモニタ機器を持ち込んでしまえば抱え込みも可能だという

TCO削減ソリューション事例

MetaFrameとサイボウズ ガルーンを用いた事例。店舗ではクライアント維持コスト削減のためシンクライアントという選択肢が効果的と語る

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