情報を可視化するビジネス作図ツールとしてのVisio第一回(2/2 ページ)

» 2004年08月25日 13時05分 公開
[井上健語, 池田利夫(ジャムハウス),ITmedia]
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さまざまな形式でアウトプットできるプロパティ情報

 図面上のステンシルが持てるプロパティ情報は、さまざまな形式で出力することができる。例えば、ネットワーク構成図から、すべての機器の製品番号、シリアル番号、ネットワーク名……等々の情報をExcel形式、HTML形式、XML形式などで出力できる。作業はウィザード形式で進められるので、出力する情報の種類、出力ファイル形式、並べ替えなどの書式を設定するのも簡単だ。

 これは、Visioで図面を作成し、プロパティ情報を入力しておくだけで、さまざまなドキュメントを必要なときに自動生成できることを意味する。ネットワーク機器の一覧表が必要なら、Visioの図面からExcelの表としてアウトプットすればよい。機器の納入業者の一覧と連絡先をHTML形式で出力し、資料として利用することもできる。XML形式で必要な情報をはき出して、WordやExcel、PowerPointに取り込んで新たなドキュメントを作成することもできる。

 つまり、Visioを利用することでネットワーク機器の保守・管理が一元化されるのだ。その結果、ネットワーク管理者は泥臭い作業から解放され、空いた時間とコストは、より生産性の高い作業に充てられる。Visioがたんなるグラフィックスソフトでないことは、お分かりいただけただろうか?

画面7■カスタムプロパティの情報を出力するには、レポート機能を使う。ウィザード形式で出力する情報や出力形式を設定する。
画面8■出力形式としては、「Excel」「HTML」「Visio図形」「XML」が指定できる。

Web発行機能による情報共有とコミュニケーション

 「せっかくネットワーク図を作ったのに、あまり活用されていない」というネットワーク管理者の悩みは、Visioの「Web発行機能」が解決してくれる。作成した図面をWebページとして保存する機能だが、もちろん、ただ単にWebページを作成するだけの機能ではない。

 Web化されたページをIEで見ると、左側に「パン/ズーム」「詳細」「検索ページ」の3つのパネルが表示される。「パン/ズーム」パネルを使えば、表示・拡大したいエリアをマウス操作で簡単に指定できる。[Ctrl]キーを押しながら図面内の図形をクリックすると、その図形のカスタムプロパティ情報が「詳細」パネルに表示される。ユーザーは、Webページ上でネットワーク機器の製造番号やMACアドレス、IPアドレスなどの情報を確認できるわけだ。

 「検索ページ」パネルは、キーワードで図形を検索する機能を持つ。検索対象となる情報は「図形名」「図形テキスト」「カスタムプロパティ」だ。例えば、「サーバ」というキーワードを入れて検索すると、ネットワーク構成図に含まれるサーバが検索されて結果が一覧表示される。あるいは、特定の業者名で検索したり、管理責任者の名前で検索することもできる。検索結果をクリックすれば図面上に点滅矢印が現れ、クリックしたサーバが図面上のどこに位置するかを指し示してくれる。もちろん、検索された図のカスタムプロパティ情報も一発で表示可能だ。

 これらの機能を利用するには、ブラウザ(Internet Explorer)があればよい。Visioを持っていないユーザーでも、イントラネットにアップロードされたVisioの図面から必要な情報を引き出すことができるのだ。情報共有・コミュニケーションの点でも、Visioが強力なツールであることが分かるだろう。

画面9■Web化したVisioの図面はInternet Explorerがあれば表示できる。[Ctrl]キーを押しながら図形をクリックすると、カスタムプロパティの情報をブラウザ上で確認できる。
画面10■「検索ページ」パネルでは図形をキーワード検索できる。
画面11■検索結果をクリックすると、図面上の対応する図形が点滅矢印で示される。

ITプロフェッショナルを刺激するVisioの機能

 今回は、ネットワーク管理者に焦点を絞ってVisioのメリットを解説したが、もちろんVisioの恩恵を受けられるのは、ネットワーク管理者だけにとどまらない。優れたグラフィックス機能、カスタムプロパティやデータ出力機能、Web発行機能など、ITプロフェッショナルはもちろん、すべてのオフィスワーカーにとって、さまざまな応用・使い方を想起させる刺激的な機能が多数用意されている。もちろん、Visioの能力は、まだまだこんなものではない。次回は、データベースからデータベース構造を抽出する「リバースエンジニアリング機能」、図面から見積書を自動的にする「マクロによるWordやExcelとの連携」など、データベース管理者やソフトウェア開発者に役立つ機能をレポートする予定である。

参考:Visioで作成できる図面サンプル(抜粋)

 最後に、Visioで作成できる図面サンプルの一部を掲載しておく。また、次のサイトでも、Visio用のサンプルドキュメントをダウンロードできる。

Microsoft Office Visio 2003 サンプル ギャラリー

 Visioを持っていない方は、上記ページから「Visioビューア」というツールをダウンロード&インストールすれば、ドキュメントを表示できるようになる。

ブロック図

概念からプロセスまですべてを示す。
ブレーンストーミング図

アイデアを集め、整理し、図表を作成する。
フロアープラン

ドア、窓、電気のコンセント、スイッチ、および建物内のフロアレイアウトを示す。 オフィスレイアウト
オフィスレイアウト

部屋のレイアウトを示す。
データベースモデル図

データベースの構造を表す。
産業用制御システム図

回転機械、半導体、固体デバイス、スイッチ、リレー、および変圧器など、産業用電力システムを表す。
基本フローチャート

プロセスを表す。
空気圧および油圧システム図

空気圧および油圧システム制御、アセンブリ、および装置を表す。
Active Directory図

Active Directory オブジェクト、サイト、およびサービスを表す。
基本ネットワーク図

組織内のネットワークと機器を表す。
詳細なネットワーク図

ネットワークの通信フロー、ケーブル配線、またはハードウェアを示す。
ラック図

ラック内の物理ネットワーク機器の構成を示す。
組織図

組織内の上下関係や企業構造を示す。
配管と計装図

パイプラインによる工業用処理設備の連結方法を示す。
カレンダー

プロジェクトを簡単に視覚化できるようにする。
タイムライン

長期にわたる一連のプロジェクト イベントやプロセスを示す。
UMLモデル図

UML表記法を使用して、ソフトウェア アーキテクチャを表す。
Windows XP ユーザーインターフェイス図

Microsoft Windows XP インタフェース要素を使用するプログラムのプロトタイプを作成する。
Webサイト概念図

新しいWeb サイトの階層、組織、およびフローを図解する。
Webサイトマップ

Web サイトの階層とフローを示す。
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