総論:「危うい」日本の小売Special:ITが変革する小売の姿(2/3 ページ)

» 2004年09月07日 02時31分 公開
[友永慎哉,ITmedia]

RFIDへの取り組み

 RFIDへの取り組みでは、日本の小売は既に遅れを取っており、これをなるべく縮めることが先決。総務省や経済産業省も、産業の競争力維持のため、RFIDの実用化支援をリードする考えだ。

 2005年1月、Wal-Martはトップ100サプライヤーに、パレットレベルでのICタグ貼付を義務付け、RFIDシステム実現に向けた大きく前進する。まだまだ実証実験の段階とはいえ、現状、独Metro、英大手スーパーのTescoなど、世界中の小売業者の多くがRFID導入に向けた取り組みを進めている。

 RFIDがうまく機能すると、在庫の可視化、サプライチェーンの透明化が進むため、欠品や余剰在庫の発生などが減り、小売業者はさらなるローコスト経営を実現できる。乗り遅れれば、日本の小売業者は、価格競争力という最重要項目でまた外資に水を空けられてしまう。

 世界では、「POSデータをインターネットで公開してしまおう」というWal-MartのRetailLinkに対抗して、WWRE(ワールドワイド・リテイル・エクスチェンジ)も結成された。WWREは、主に欧米の大手小売業者が参加するインターネット上の企業間電子商取引(B2B)市場。米GAP、英大手スーパーのTesco、日本ではイオンを含め、59の小売業者と125以上の一般消費財メーカーがメンバーになっている(2003年3月時点)。

 RFIDやWWREの動きから分かるように、欧米では、在庫情報をオンラインで共有し、メーカー、サプライヤー、小売業者が一体となった協働体制が敷かれようとしている。これに対して、もし日本企業が、それぞれの企業の独自仕様に走るなどの行動に出れば、ITを活用してますます効率性を高める外資系小売企業に勝つ術はない。

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