総論:「危うい」日本の小売Special:ITが変革する小売の姿(3/3 ページ)

» 2004年09月07日 02時31分 公開
[友永慎哉,ITmedia]
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商品コード標準化の動き

 また、流通業界の世界的な動きでは、欧州に本拠置くEANインターナショナルと、米オハイオが本部のUCC(ユニフォーム・コード・カウンシル)が、2005年1月に正式統合することが注目される。両者はそれぞれ、EANコードとUPCコードを体系化していることで知られる。いわゆるバーコードのコード体系に関する動きだ。

 日本はEAN加盟国であり、日本の商品に印刷されているJAN(Japanese Article Number )コードは、EANコード同じ体系だ。

 EANコードは、「国コード(2ケタまたは3ケタ)+メーカーコード・アイテムコード(10ケタもしくは9ケタ)」という構成。ちなみに、日本の商品のバーコードのほとんどは、最初が「49」から始まっている。49は日本の国コード。EANとUPC統合により、コード体系も「GTIN」(グローバル・トレード・アイテム・ナンバー)で2005年1月から統一される。バーコード体系を統一することにより、商品の流通の障害物が1つ取り除かれることになった。これも、日本の小売市場に少なからず影響を及ぼすことになる。

ユニクロの成功で証明されたSPAの効果

 1999年11月、原宿にカジュアル衣料専門店ユニクロが首都圏で初めて出店した。かつては街を歩くと、ユニクロのフリースを着た人が常に5人は視界に入るくらいの勢いがあった。一時の低迷期を乗り越え、同社は現在また調子を取り戻しているようだ。

 ユニクロは、米GAPが開発したSPA(Speciality Apparel Retailer of Private)とばれる業態であることが特徴。

 SPAは「製造小売業」と訳され、呼び名の通り、商品の企画から製造、販売まですべて自社でやってしまう業態だ。サプライチェーンマネジメント(SCM)の観点からは、メーカーと売り手が同じであることは効率的だ。

 製品を作りすぎたとしても、自社の店舗でなんとか頑張れば売り切ることができるかもしれない。というよりは、店舗から得られる詳細な情報を活用すれば、製品を作り過ぎることも少なくなる。

 逆に、返品や追加注文に対応する問屋機能がないことや、作ってから売るまで他社が介入しないため、外部の意見が入りづらいといった欠点もある。SPAの長所と経営戦略を、いかにシステムに落とし込むかが、IT活用のポイントになる。


特集「ITが変革する小売の姿」では、SuicaをはじめとしたICカード活用による消費の形の変化、膨大なデータをデータウェアハウスを利用して生かすマーチャンダイジング、さらに、インターネットが既存の小売業界の構造にどのような影響を及ぼすかについても伝えていく。



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