新版.NET Framework 2.0では、WebサイトやFTP、ファイル共有フォルダなどにビルド後のアセンブリを配置した場合、ユーザーがダウンロードして、直接インストールする「ClickOnce」機能を利用できる。
ClickOnce機能を使うには、VS2005の「ビルド」メニューから「発行」を選択すればよい(画面15)。
発行する際には、発行先のフォルダに対して書き込み権限が必要となる。また、プロジェクトを作成するときに、開発者のOSの「会社名」が設定されていないと、正しく発行されないという問題がある。
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ClickOnceは発行ウィザードを用い、たとえばWebサイトへ発行するように設定すると、ClickOnce用のアセンブリがビルドされ、Webサイトへとアップロードする仕組みだ。この際、アプリケーションをダウンロードするよう、アナウンスするWebページも生成可能である(画面16)。
Internet Explorerでアクセスした時には、クライアント側に.NET Framework 2.0のランタイムがインストールされているかどうかが判別される。もし、インストールされていなければ、画面16のように.NET Framework 2.0再配布パッケージをダウンロードするためのリンクを表示する。
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画面15■発行ウィザード
画面16■生成されたWebページ
アプリケーションの利用者は、画面16のページにアクセスしてアプリケーションへのリンクをクリックすると、ダウンロードしてインストール後に実行する。
ClickOnceは、現行のノータッチデプロイメントと似ているが、ひと味違う。クライアント側にインストールされて「スタート」メニューに登録する機能を備えることや、「スタート」メニューから起動された際、ダウンロード元のアプリケーションが更新されているかを確認し、バージョンアップが存在する場合には、ダウンロードし直す機能も備えているのだ。
このClickOnceをうまく利用すれば、アプリケーションを配布する手間を省けるだけでなく、あとからアプリケーションをアップデートした時に、再配布する手間も省けるようになる。
VS2005でWebアプリケーション開発をする場合には、ASP.NET 2.0をベースとした開発をすることになる。
ASP.NET 2.0で追加された機能はとても多く、この特集ではすべてを紹介することはできない。そこで、Webアプリケーションを開発する時に注意しなければならない点について、まとめておこう。
なお、参考までに、ASP.NET 2.0で追加された主な機能を、表3に示した。
表3■ASP.NET 2.0で追加された主な機能
機 能 |
内 容 |
マスターページ |
マスターページを作成しておき、他のWebフォームから参照して利用することで、ページの統一化されたレイアウトのページを作りやすくなった |
テーマ |
ページのCSS(Cascade Style Sheets)やサーバーコントロールのプロパティをスキンとして用意しておき、切り替えてページの見栄えを変更することができるようになった |
サイトナビゲーションメニュー |
XML形式でweb.sitemapというファイルを配置すると、それをサイトマップ情報として利用し、SiteMapPathコントロールなどでサイトナビゲーションメニューを提供できるようになった |
データベースを使った認証機能 |
データベースにユーザー情報を保存して、ユーザー認証できるようになった。ユーザー認証用のコントロールとしてLoginコントロールなどが提供された |
データベースを使ったプロファイル機能 |
データベースにユーザーごとの設定情報を保存できるようになった |
ページカウンタ |
ボタンやリンク、広告(AdRotator)などのコントロールにおいて、何度クリックされたかをデータベースに保存できるようになった |
統一化されたWebサーバーコントロール |
アクセスしてきたWebブラウザを自動判別し、適した形式で返すようになった。たとえば、パソコン用のWebブラウザからアクセスされた場合にはHTML、携帯電話からアクセスされた場合には、CHTMLやWAPとして返される。これにより、携帯電話やPDA向けの開発でも、モバイルコントロールではなく、汎用的なWebサーバーコントロールを使って開発するようになった |
Webパーツ機能 |
MSNやMy Yahooのような、ユーザーがページ内の好きな位置に「天気」「ニュース」「株価」などのパネルを設定して配置することができる機能を実現できるようになった |
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