「コンプライアンス」対策の業界標準を目指すステレントのコンテンツ管理部分的ではなく全社レベルに拡張できるコンテンツ管理インフラ(1/2 ページ)

 相次ぐ情報漏えい事件や2005年4月の個人情報保護法の施行などもあり、コンプライアンスに対する注目が高くなっている。情報漏えいを防ぐには、Webコンテンツをはじめ、イメージ、レコード管理など、企業に蓄積されたすべての情報を正しく管理し、効果的に共有することが必要になる。

» 2004年09月27日 10時05分 公開
[聞き手:山下竜大,ITmedia]

 相次ぐ情報漏えい事件や2005年4月の個人情報保護法の施行などもあり、コンプライアンスに対する注目が高くなっている。情報漏えいを防ぐには、Webコンテンツをはじめ、イメージ、レコード管理など、企業に蓄積されたすべての情報を正しく管理し、効果的に共有することが必要になる。

 そのためには、コンテンツ管理ソリューションの導入が不可欠となる。それでは、どのようなコンテンツ管理ソリューションを導入することが必要なのか。日本ステレントのビジネスディベロップメントマネジャー、山下進一氏およびアイ・ティー・アール(ITR)の代表取締役社長、内山悟志氏に、コンテンツ管理市場の現状について話を聞いた。

ITRの内山悟志氏(右)と日本ステレントの山下氏

―― コンテンツ管理市場の現状について聞かせてください。

内山 企業の経営者は、コンテンツ管理は重要であると思ってはいるものの、差し迫った課題だとは考えていないのが現状でしょう。事業部ごとに文書管理やデジタルコンテンツの管理などは行っていますが、企業レベルで取り組んでいないというのが最大の課題です。

 銀行や保険、貿易関連など、数多くのドキュメントを使用する業種では、これまでもさまざまなツールを導入してコンテンツ管理を行ってきましたが、まだ特定用途の管理という域を越えていません。経営者からしてみると、まだほかに投資効果が高い分野があるために、優先順位が低くなっているのでしょう。

 一方、米国では、銀行や通信、航空、製造業などが全社的に、かなり積極的にコンテンツ管理を導入し始めていますので、1社に導入されると大きな契約が期待できます。

 全体的な法整備などは、徐々に進んでいますので、コンテンツ管理が目指している方向性は間違えていないと思います。しかし、もう少し導入のペースが上がってこないと市場として確立が難しい。とはいえ、ITRの顧客にも少しずつですが、コンテンツマネージメントの導入の検討を始めた企業がでてきています。

山下 2003年の暮れあたりから、コンテンツ管理に対する問い合わせは多くなっています。しかし、まだまだ限られた分野にしか眼が向けられていない。文書管理だけとか、Webコンテンツ管理だけなど、一部のニーズに投資をしても、結局はまた別のコンテンツ管理製品や他の製品を導入しなければならず、個々のシステムを統合する作業が発生するために効率的ではありません。コンテンツ管理においては、企業全体のシステムとして、1つのプラットフォーム上に実現できるものを導入することが必要です。

 コンテンツ管理の最大のメリットは、Webコンテンツにせよ、コンプライアンスにせよ、必要な情報は出す、不要な情報は出さない、という情報の正しい管理を行うことができることです。規制は必要ですが、現在はまだその前の段階であるにもかかわらず、セキュリティでしばってしまうのは問題です。いかに情報を共有するかが重要であり、企業をどのようにうまくコンテンツ管理に導いていくかがステレントにとって大きな課題です。

内山 最近では、事業部ごと、グループ企業、または他社など、ビジネスにおける提携関係というものが多くなってきています。こういう機会においても、コンテンツをしっかり管理して、必要な情報だけを共有できる仕組みを持っていないと、同じ情報が重複してしまい、管理が複雑になるだけでなく、本当に最新の情報が共有されているかのチェックなど、無駄な投資が多くなってしまいます。

―― 米国では、ステレントの製品を利用した、どのような成功事例がありますか。

山下 製造業のEMERSONでは、ステレントの製品群を利用して、プロダクトのライフサイクルを実現しています。これは、市場調査で集めた情報をマーケティング部門が分析し、設計部門にその情報を提供、仕様を確定して製造部門に渡される。製造部門では、設計以降の情報を確認しながら製造し、販売部門が情報に基づいて販売するという一連の情報ライフサイクル管理を実現しています。

 また、政府系では、ミネソタ州のスコット郡政府がコンプライアンスを確立した事例もあります。米国に限らず、どの国でも中央省庁は大量の機密情報を持っていますので、これらを正しく管理し、有効に利用できなければいけません。また、医薬業界向けや金融業界向け、流通業界向けなど、各業界ごとの規制に柔軟に対応できるセキュリティなどを実現し、どの業界においてもビジネスにあわせたコンテンツ管理ができる仕組みを構築しています。

内山 日本でもe-Japanなどで、地方自治体なども含め、官公庁でのコンプライアンス対応が加速することになるでしょう。ただし日本で大きな市場を持っているのは、やはり製造業です。この分野では、製造ラインや管理費などの管理では進んでいますが、今後は設計のコラボレーションや図面の管理などは、なかなかうまくいっていないのが現状です。

 製造業では設計開発において、日本でコアとなる部品を作り、米国で周辺の部品を作り、アジアで組み立てるなど、グローバルなビジネスが展開されています。しかし現状、CADデータをメールで送るとか、紙ベースのFAX、航空便での書類のやり取りなど、かなり原始的な手法で管理されていることが多くなっています。このため何日かの工程の遅れが発生したりと、まだまだ改善の余地が多く残されています。

 特に企画から設計、開発の分野で差別化していくことが必要であり、この分野でコンテンツ管理が有効になるのではないかと思います。

―― ステレント製品を利用することで期待できる効果は?

山下 先ほどのスコット郡の事例では、それまで紙ベースで行っていた自治体内の連絡事項を、ステレントのコンテンツ管理を中心としたWebや電子メールなど、e-ガバメントシステムに移行することで、日本円に換算して約1億円の経費削減を実現しています。

 また、ソニーピクチャーズエンターテイメントでは、Webサイトで配給する新しい映画のコンテンツを配信しています。同社では、ステレントのコンテンツ管理を導入することで、あらかじめフレームワークを提供し、動画の配信を短期間で可能にしています。またこれまでは、映画の予告編などもテープを作成して各映画館に送付していたのですが、現在ではデジタル化によりネットワーク経由で配信しています。こうした仕組みにより、映画1本あたり数億円のコスト削減を期待しています。

 コンテンツ管理は、導入すれば儲かるというものではなく、業界やビジネスの形態に特化した使い方しだいでコスト削減や生産性の向上、業務の改善、コンプライアンスの遵守などのメリットを享受できるものなのです。コンテンツ管理を導入して効率化を実現し、得られた余力を利益を生み出せる分野に投資するということがコンテンツ管理を導入するメリットです。

―― 2005年4月には、個人情報保護法が施行されますが、これも追い風に?

内山 個人情報保護や電子カルテ、会計処理など、各省庁で決められていることに関しては、日本の企業は対応が早いのですが、何か起きた場合に、それがどのような事実関係の上で発生し、どのように対策したのかが証明できないと説得力に欠けるので、そういった面を意識してコンテンツ管理を導入する必要はあるでしょう。

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