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» 2004年10月29日 17時45分 UPDATE

ワークフロー制御が強みのCMS「Zope」――ゾープ・ジャパン山本社長

システム言語Pythonで構築されているZope。OSSのCMSとしてユニークな部類だが、優位性はどこにあるのか? コミュニティとの関わりなども含め、ゾープ・ジャパン、代表取締役社長の山本 烈氏に聞いた。

[木田佳克,ITmedia]

 オープンソースのCMSとしても知られている「Zope」。米Zopeでは、関連する商用製品もラインアップされており、商用とコミュニティが共存するオープンソースソフトウェア(OSS)のひとつとしても注目されている。

 また、Zopeにはユニークな仕組みが幾つが見られる。CMF(Content Management Framework)と呼ぶメンバー制コンテンツマネージメントフレームワーク実装や、ライセンス「ZPL」(Zope Public License)などが挙げられ、CMFは派生のCMS「Plone」の基となっているものだ。

 インタビューでは、CMFをベースとしてGNU GPLに基づくPloneとの差別点や、ゾープ・ジャパンとしての取り組み、コミュニティとの関わりなどについて、ゾープ・ジャパン、代表取締役社長の山本 烈氏に聞いた。

設立には商用プロダクトの認知と企業サポートがある

ITmedia ゾープ・ジャパン設立の経緯を教えてください。

zopeIMG_4209.jpg ビジネス利用に応えるCMSの基盤を作り上げていくと語るゾープ・ジャパン、代表取締役社長の山本 烈氏

山本 設立前は、主にPloneを中心にZopeコミュニティとも関わった活動をしていました。現在も関わりがありますが、設立に関わる直接のきっかけは、オープンソース・ジャパンの角田社長とのやり取り上で、ベースとなるビジョンが一致したことです(関連記事)

 国内での企業利用の土壌を築くという目的があり、しっかりとしたサポートを行うためにも組織が必要だと考えました。そして、米Zopeとの独占総代理店契約を結んだのです。

 また、日本ではまだ広く知られていませんが、Zope上で稼働する商用製品があります。Zope4IntranetsZope4Mediaと呼ばれる製品であり、これらを国内で展開していくという予定があります。

ITmedia 米Zope出資による法人設立は日本が初ですか?

山本 米Zopeは主に米国での展開ですが、ローカル圏での取り組みに対し、好意的な印象を持ってもらいました。本国出資によるケースは、アジア圏でゾープ・ジャパンが初めてです。ほかには、ヨーロッパ圏では多くの企業が関わっています。

ITmedia 数多くOSSのCMSがある中で、Zopeの強みを教えてください。

山本 Zopeはソフトウェア自体がオープンソースソフトウェア(OSS)です。そして、開発プロセスもオープンです。

 Zope Contributer Agreementと呼ぶこのライセンスでは、規約同意することでCVSアカウントが発行され、自由に開発参加が可能です。また、ZPLはBSDライクなライセンスであり5つ程度しか項目が無いというとても簡単なものです。自由度が高く、場合によってはソースを付加しなくてもよいというものです。

 企業内であればなおさら、改造したソースコードを公開したくないといったケースがあるでしょう。カスタマイズのために開発を行ったが、開示する必要があるのか? と悩む必要はありません。また、ZopeはよくPloneと似ていると思われるのですが、実際は異なるものであることが触ってみるとよく分かります。

 企業であれば、BackOffice系の用途を要求することが多いと思いますが、このような場合にはCMSへの要件がとても複雑になります。ワークフロー、バージョニング管理などが絡んだり、機能性要求はとても幅広いものです。

 このような場合に、どのプロダクトを選択するのがいちばんカスタマイズしやすいのか? 投資対効果が優れているのか? などを提案できるのが、商用の強みであり、ゾープ・ジャパンの役割であると考えています。このライセンスは、Visible Source Software Lisence(VSSL)と呼ばれ、私がZopeに魅力的に感じているもののひとつとして挙げられます。

ITmedia Zopeはシステム言語がPythonですが、オープンソース・ジャパンとしてはPHP先導というイメージがありますが。

山本 その件では特に、角田社長と相違がありませんでした。私の理解としては、主にPHPはライトウェイトであり開発会社もしっかりとしている言語。Python言語は、オブジェクト指向であり複雑な処理を得意とする傾向という見方です。

 この特性は直接Zopeに関わってくるのですが、企業における複雑な処理が必要な用途に向くと考えています。ワークフローがそれほど関わらないものはPHPが使いやすいでしょう。また、PHPに関わる観点からであれば、Zopeに深く関わるには考え方をある程度変える必要があります。しかし、その点は用途によって選択すればよいだけです。

 レスポンス重視はPHP、ワークフローで承認プロセスを駆使するような仕組み搭載には、Python(Zope)といった選択が好ましいかもしれません。

日本Zopeユーザ会との関わり

ITmedia 国内のZopeコミュニティは活発なのでしょうか。

山本 比較的であれば、オンライン上のやり取りは活発ではないという答えになります。

 米国や英国では、実際に集まるカンファレンス以外は、zoop.orgによるオンラインのやり取りが多いのですが、日本ではZope Weekendなどのオフライン会合が多いです。Plone研究会も2、3週間置きに行われています。

 そうとはいえ、OSSコミュニティであれば悩む日本語でのドキュメント整備などは、積極的に行っていかなければならないなど、課題は多いです。毎回の会合で交わされるテーマです。

 Zopeコンセプトが書かれている資料がないので、基盤自体が分かりづらいという問題もあります。特に比較的構造が複雑な部類のためなおさらです。コミュニティとしては、オンライン上では少ないですが、イベントがあれば集まる。

 アクティビティが低いというわけではありません。

ITmedia ゾープ・ジャパンとしてコミュニティ支援するような働きかけはあるのでしょうか。

山本 コミュニティはオープンソースビジネスにとって非常に重要な存在です。ビジネス用途であっても、入り口としてはまずOSSからといった展開は大いにあり得ます。

 また、人材マーケットといった側面もあります。良いコードを定期的にコミットする人には、いっしょに働かないかなどとコンタクトすることもあります。ビジネスを前提としない評価がし合える場でもあるわけです。結局は、プログラムを書いて作り上げるのは人なので、それを形成していく場としてコミュニティは重要です。

ITmedia 最近ではコミュニティ系のOSS CMSとしてXOOPSが賑わっています。どのように見ていますか。

山本 確かに活発ですね。私もXOOPSを見たことがありますが、先に挙げたようなZopeが得意とする認証プロセスの点や、より複雑な構成になってくると使い勝手に難しさがあるように思います。コミュニティ系で比較的複雑なワークフローを必要としない場合にはよいと感じますが。

 ゾープ・ジャパンとしてZopeはビジネス指向ですが、決してコミュニティ用途を軽視しているわけではありません。

ITmedia コミュニティとビジネス指向どちらもとなると中立となって機能要件が定義しづらくならないのでしょうか。

山本 要件が複雑になっても、応えてくれて使いこなすことができるというのは重要な要素だと考えています。

ITmedia ビジネス指向ではJavaによるWebサービスがクローズアップされています。これに対するZopeの強みは?

山本 Ploneコミュニティの中では、かなりJavaからPythonへと移行してきた人が見られます。JavaはOSSではないので、社会基盤として用いるのは疑問もあります。PythonはJavaよりもライトウェイトということもあり、しばりが少ない、コード量が少なくて済むという点が優位性だと考えています。

ITmedia Zopeが持つビジネス的な強みとシステム的な強みを簡潔に挙げるとすれば?

山本 オープンソースであり、顧客がコントロール可能なシステムで構築できることです。アプリケーションのバージョンアップでライセンス問題に悩む必要はないでしょう。Zopeのオブジェクト指向的な考えを理解すれば、生産性が向上します。ここが広く理解されないという点が弱みでもあるわけですが。

 Zope上ではファイル構造とURLが一致しないのですが、Zopeのこの特徴は書籍などを読んだだけではなかなかピンと来ないものです。オブジェクト構造は、ZMI(Zope Management Interface)という構造で覗いているのですが、ついついファイルエクスプローラで覗いたりしてしまいがちです。

 また、ゾープ・ジャパンでは、ソフトウェア、開発、ホスティング、教育といったビジネスを行っていきますが、特に教育には力を注いでいく予定です。

ITmedia 多くのOSSのCMSがそうであるように、Blogの勢いを機能としてモジュール取り込みするような動きはあるのでしょうか。

山本 ええ、計画があります。まずはコミュニティでの実装取り組みが先行すると思いますが、Zopeとして必要な要素のひとつだと考えています。

ITmedia 今後のロードマップを教えてください。

山本 年内にもトピックをリリースしていきますが、2005年前半にはビジネスのラインアップが見えてくるように、Zope上での商用製品展開を予定しています。

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