HDD障害で失ったデータをリモートから復旧、「リモートデータ復旧サービス」(1/2 ページ)

いくら用心しても一定の確率で事故は起きる。そこからいかに早く立ち直るかが、強さである。データ復旧サービスは、まさかの時に頼れる強力な助っ人だ。

» 2005年03月18日 16時21分 公開
[ITmedia]

 ビジネスの大半をITに依存する現代社会では、必要な情報や資料のほとんどがデジタルデータとしてデータストレージに保存されている。取り引きにおける計算書や顧客情報だけでなく、企業の財産ともいえる設計図やなども、今やほとんどがデジタルデータだ。データストレージの中に入っているのは、企業活動そのものだと言ってもいい。

 しかし、ストレージは道具である。道具はいつかは壊れる。特に物理的に読み書きするものには寿命があるし、衝撃や浸水などにも弱い。もちろん、データの重要性を強く認識している企業では、データバックアップの仕組みを導入しているに違いない。しかし、例えばテープバックアップの場合、運が悪ければ取り戻せるのはかなり昔の情報しかなかったということもある。

 仕事やプライベートでPCを使用していて、さっきまで見えていたHDDが急に見えなくなったとか、これまでアクセスしていたファイルに突然アクセスできなくなるという経験をしたことがある人は、そう珍しくないに違いない。そんな時、筆者ならばハードディスクを外してお師匠のところへ持って行くが、業務上、本当に重要なデータが突然見えなくなったら、あれこれいじくらず、専門家に任せることをお勧めする。それが重要なデータであればあるほど。

ストレージを熟知した専門家によるデータ復旧

 データのリカバリーサービスというのは、世の中でそれほど大々的に宣伝されている分野ではない。しかし、困ったときの駆け込み寺として、着実な支持を得ている業種だ。

 米Ontrack Data Recoveryのデータ復旧技術を導入し、サービス提供しているワイ・イー・データは、もともとデータストレージの開発・製造を手がけてきた。埼玉県入間市にデータ復旧のためのラボを開設し、かなり重篤なディスク障害でもそこで復旧できる。

松尾明氏 オントラック事業部 技術部 部長 松尾明氏

 同社オントラック事業部課長 辻庸光氏の言葉を借りれば、「磁気メディアの病院」である。それも、大学病院並みの設備を整えている。ストレージ自体を製造している企業であるから、「その仕組みにはもちろん詳しい。どのような障害が発生し易いかといったことにも精通している」(オントラック事業部技術部長 松尾明氏)。それがデータの復旧実績につながるという。

辻庸光氏 オントラック事業部 担当課長 辻庸光氏

 さて、データを復旧するには通常、障害があるらしいディスクをラボに送り、障害の状況や復旧できそうなファイルはどれかといった調査をして見積りをもらう。そして、実際の復旧作業をして返送してもらう。障害の程度やディスクの容量に大きく依存するが、数日かかると見ていい。異音がするとか煙が出ているなどと明らかに物理的に損傷していたり、OSが起動しないような状態ならば仕方ないが、時間を短縮できないかと考えるのは当然のことだ。大型のサーバならそれを梱包するのはひと苦労だし、ダウンタイムを最小にしたい。折りしも、ブロードバンド大国日本では、およそどのような企業でもインターネット環境は整っている。そこで、データ消失の原因をリモートから検査したり復旧してしまおうというのが、「リモートデータ復旧サービス」(RDR)である。

速さが売りのリモートからのデータ復旧

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