Free Software FoundationとOpenOffice.org、Java問題解決へ (1/4 ページ)

Free Software Foundation(FSF)とOpenOffice.org(OOo)は、OOoの次バージョン2.0のリリースについてJava使用の拡大を議論してきたが、当面の決着がついた。一連の問題の経緯と解決までの流れを追う。

» 2005年05月20日 11時50分 公開
[Bruce-Byfield,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 Free Software Foundation(FSF)とOpenOffice.org(OOo)は、OOoの次バージョン2.0のリリースについてJava使用の拡大を議論してきたが、当面の決着がついた。両者は短期的な解決策で合意し、こうした問題の再発を防ぐため今後も話し合いを続けるという。

 今回の件は、フリー/オープンソースソフトウェア(FOSS)の各種コミュニティーが膨らみ複雑化したことで起こってきた問題の訓話であるとともに、コミュニティーが目指す協力精神が、少なくとも多くの場合においては今も有効であるという証拠でもある。

Javaトラップ

 この議論は、OpenOffice.orgバージョン2.0ベータにJava依存の機能が含まれていたために持ち上がった。まず、3月初めにNewsforgeのレビューでこれが報じられると、非常に大きな反響があった。そこで次の記事で、Java依存の拡大が主に実際的な理由から決定されたこと、反対者の言い分、主要ディストリビューションの対応などが解説された。この記事は、最初のレビューより一層大きな反響を呼んだ。そして今度は、Christian Engfeldt氏が3番目の記事を書き、その中で、Sun Microsystems社の最高技術推進者サイモン・フィリップス氏がJava依存の拡大を擁護した。

 一方、リチャード・ストールマン氏は4月初めにこの状況を知った。ストールマン氏はずっと以前からこれを"Javaトラップ"として次のように警告していた。

 プログラムがフリーソフトウェアなら基本的には倫理にかなっている。だが、気を付けなければならない落とし穴がある。プログラム自体はフリーでも、それが依存する非フリーソフトウェアに制限される場合があるということだ。現在、この問題が最も顕著なのがJavaプログラムであることから、わたしたちはこれをJavaトラップと呼んでいる。

 5月6日、Free Sofware Foundationは、OpenOffice.orgのJavaなしバージョンの保守を手伝うボランティアを募集した(その後変更)。これを受けて、Steven J. Vaughan-Nichols氏が4番目の記事を書き、OpenOffice.orgはフォークするだろうと想定した。

 フォークを想定したのはVaughan-Nichols氏一人だけではない。一連の記事への反応を見る限り、一部ではフォークは支持されていたようだ。実際、ストールマン氏も当初からフォークの可能性を考えていた。ある電話インタビューで、ストールマン氏は、最初に考えたのが「OpenOfficeのコードでSunのJavaプラットフォームに依存している部分を書き直す」ことだったと話している。

 OpenOffice.org支持者たちの中にもこれを慎重ながら歓迎した人々がいる。OOoの共同マーケティング・リードジョン・マクリーシュ(John McCreesh)氏は、今も議論の対象になっているあるマーケティングプランではOOoをブランドごとに分割することが推奨されていると話し、「FSFの今回の決定はよかった」と話した。同様に、OpenOffice.orgの前マーケティング・リード、サム・ハイザー(Sam Hiser)氏も、「OpenOffice.orgのコードはそのように開発するのが健康的です。OOo内のJavaはほとんど間違いなくプロプライエタリ依存であり、長期的に見れば、プロジェクトにとって重大な問題になる可能性があります」と話す。

 一方、そこまで賛成していない人々もいる。OpenOffice.orgコミュニティー・マネージャのLouis Suarez-Potts氏は、この動きに驚きを表し、発表があるまでFree Software Foundationの誰からもそうした問題について連絡はなかったと話した。ストールマン氏のJavaトラップの記事については知っていたものの、Suarez-Potts氏はこの発表を過剰反応と受けとめているようだ。「イデオロギーのためのフォークはどうも……、いや、ほかにもっとやることがあるんじゃないでしょうか」と話した。

 受け取り方はさまざまだが、5月第1週の段階では、フォークを進める準備は整っているようだ。

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