Apacheグループ、オープンソースJavaへ向けて大きな1歩(2/2 ページ)

» 2005年05月23日 16時07分 公開
[Chris-Preimesberger,IT Infra Portal]
SourceForge.JP Magazine
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 将来の市場で、HarmonyがSunの「クリーンルーム」版J2SEに取って代わる可能性があるかどうかという質問に、ベーレンドルフ氏はこう回答する。「これは長期間にわたるプロジェクトだ。J2SE空間に存在する他のオープンソースプロジェクトとどう関係していくかは未定だし、このプロジェクトの基盤となるコードベースの有無だって、まだ分からない。プロジェクトの目標もまだ話し合いの段階だが、1つ言えることは、誰も単なる学術的レベルの作業で満足するつもりはない、ということだ。実働環境での使用に堪える本格的なJ2SE実装を生み出し、そこで自分のアプリケーションを実行したい。口には出さなくても、誰もがそう思っているだろう。できたものが他よりすぐれていて、好まれるJavaプラットフォームになるかどうかは、もちろん今後の問題だ」

 Java開発者は、囲い込みからの解放を願ってやまない。このプロジェクトはその願いに応えるものになるのだろうか。ベーレンドルフ氏の考えはこうだ。「その質問に対しては、まず、Javaはもう囲い込まれてはいないことを指摘しておきたい。Kaffe、Classpath、Jikes、GCJなど、J2SEのあれこれの部分には、合法的で力強いオープンソース実装が存在する。Geronimoでもやったとおり、われわれは、オープンソースが標準への準拠と必ずしも矛盾するものではないことを、Sunにも、広くJavaコミュニティーにも証明していきたい。だから、その段階にきたら、J2SE TCKに合格して認定を得るつもりだ」

 「Java技術が進化するにつれ、個々のプロジェクトでもJava全体でも、コミュニティーへの責任委譲や権限委譲が起こる。これは、Sunも以前から想定してきたことだろう。その委譲過程で、Harmonyも一定の役割を果たせる。われわれはそう考えている」

 Sunは、ここ4年間、財務面で苦境に立たされてきたが、昨年は開発コミュニティーへの食い込みを図り、競争相手(とくに、かつて不倶戴天の敵だったMicrosoft社)との関係改善も企てて、ITビジネス第一線への復帰に意欲を燃やしている。販売と製造の国内的・国際的チャンネルをずっと効果的に使う方法を覚えてきた、というのが観測筋の見解だが、そのきっかけとなったのは、昨年の戦略的な動き(ほとんどが人事面の動き)だろう。

SunはオープンソースJavaの開発を止められない

 だが、Sunにそれ以上のことが必要であるのは、同社にもよくわかっている。収入のあまりに多くの部分が、J2EE関連の企業向けハードウェア/ソフトウェア長期ライセンスに集中している。いきなり殻を破って、コードをオープンにできない事情がそこにある。収入面で失うものがあまりに大きすぎるのである。怒りに燃える顧客の出現に、すでに使い道の決まっている資金……。だが、誰かが――そう、Apacheのように尊敬されている誰かが――動いてくれたら……。フム、1つの考えではある。

 オープンソースコミュニティーが何をやりたがるかは、Sunがどうこうできる問題ではない。だが、オープンソースJavaは、Sunの最も差し迫った必要に応えてくれるものではなかろうか。つまり、開発コミュニティーから向けられる好意の眼差しである。これがあって初めて、同社のサーバー/ソフトウェア/サービスに売上を伸ばすチャンスが生まれる。今回のプロジェクトが成功し、オープンなJavaが生まれたらどうなるか。Sunには顧客向けに正当な言い訳ができるし(どうしようもないことでした……)、Javaコミュニティーは勝利を喜べる。

 いずれにせよ、SunはJ2SEのライセンス条件の緩和を、すでに3月に発表している(関連記事参照)。次の1歩は論理的に明らかだろう。

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