3月よりフォーティネット・ジャパンの代表取締役社長に就任した岡本吉光氏は、エンタープライズ顧客の獲得に向けて、パートナー提携を拡大していく方針だ。
「フォーティネットはこれから、『FortiGuard』というブランドを打ち出したサービスカンパニーを目指す」――今年3月よりフォーティネット・ジャパンの代表取締役社長に就任した岡本吉光氏は、同社の今後の方向性についてこのように語った。
フォーティネットは、独自開発のASICおよびOSをベースにしたセキュリティアプライアンス「FortiGateシリーズ」で知られる。ファイアウォール/IPSec VPNや侵入検知/防御といった機能に加え、アンチウイルスのようなコンテンツレベルのセキュリティを、高いパフォーマンスで提供できる点を特徴としてきた。
さらに最近では、マネージド型のセキュリティサービスとして「FortiGuard-Antispam」や「FortiGuardウェブURLフィルタリング」をリリースしている。アプライアンスを通じてUTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)というマーケットでのシェアナンバーワンを確保するとともに、今後はこうした付加価値サービスの側面に注力していく方針だという。
岡本氏はこれまで、日本IBMにはじまり、サン・マイクロシステムズやシスコシステムズといった国内の大手IT企業でチャネル開拓に携わってきた経験を持つ。フォーティネット社長就任後は、そのノウハウを活かし、付加価値を加えた形で顧客にセキュリティソリューションを提供できるようなパートナーを開拓していく計画だ。
これまで、フォーティネットの顧客の多くは、中小企業(SME)やローエンドに分類される企業が多かった。今後は、いわゆるエンタープライズやサービスプロバイダーといったハイエンドの顧客をターゲットにしていく。そのために必要なのが、サポート力などを備えたシステムインテグレータとのパートナーリングだ。
「SMEで求められる要件と、エンタープライズで求められるそれとは異なる。SMEではコストやシンプルさなどが重要な要素となるが、エンタープライズの場合、優れたサポートはもちろん、サポート顧客のことを理解したうえでトータルソリューションを提供できなくてはならない。そういった力を備えたインテグレータをパートナーとしていく」(岡本氏)。
セキュリティ対策の提案でありがちなのが、単体のセキュリティ製品を売り込んでそれで終わり、というパターンだ。しかし本来ならば、企業ごとの業務や環境を踏まえた上でポリシーを作り、それに沿って必要な要素を実装していく、というのがあるべき姿である。
「どこに力点を置くかは顧客によって異なってくる」(岡本氏)。顧客からの要求に応えられる力とサポート体制を持ったインテグレータとの協力関係を構築していくとともに、パートナー各社が展開するソリューションの中にFortiGateやFortiGuardを組み入れてもらえるよう工夫していきたいとした。
岡本氏によると、既に複数の有力なインテグレータとの間でパートナー提携について話し合いを進めており、うちいくつかはそう遠くない時期に発表できる見込みという。フォーティネットの日本法人側でも、パートナー支援のために人員を増強するほか、技術支援を行うテクニカルアシストセンターの担当者を国内に置き、米国本社とのコミュニケーションを密にしていく方針だ。
「ミッションは、日本のネットワークのセキュリティを強固にしていくこと。そのためにパートナーを通じて、ニーズに応じた形で付加価値サービスを展開していきたい」(岡本氏)。
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